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海外での医療搬送とアシスタンス:一命を取りとめた○○歳の少年

2019.10.20

海外での医療搬送とアシスタンス

家族と共に東南アジアで楽しい休暇を過ごしていた12歳の日本人少年は、マレーシアのランカウイ島沖の海中で意識を失いました。予断を許さない状況の中、搬送を含む適切な医療支援で一人の若く貴重な命が救われた事例をご紹介します。

浜辺で意識不明の状態で発見

1月24日午後3時、ランカウイ島沖の浜で少年が水面にうつ伏せの状態で意識を失っているのが発見されました。当時両親は2人の幼い弟妹の面倒を見ており、少年は浜辺に一人で遊んでいたようです。発見されたときは意識不明の状態で、ホテルで応急処置が施されましたが、意識の回復がみられませんでした。ホテルの車で最寄りの病院へ向かいましたが、マレーシアは旧正月の季節と重なり、祝日であったため病院は休診でした。

ランカウイ病院に搬送するまで1時間を要しました。患者はけいれん発作も起こしました。病院に到着し、直ちに救急外来で緊急治療が開始されました。2時間が経過したところでようやく、医師から両親に病状の説明が行われました。医師は翻訳ツールを使用して容態の説明を試みたようですが、両親との意思疎通は上手くいきません。また、その病院には自動の人工呼吸器もなく、看護師が手動で人工呼吸を行っていました。

この状況に両親は危機感を感じ、インターナショナルSOSと契約している勤務先企業に助けを求めました。同社の駐在員には従業員に対する安全配慮義務の一環として、インターナショナルSOSの医療およびセキュリティのアシスタンスサービスが提供されていました。

少年の命を救うために医療支援開始-ランカウイ島→マレーシア本土→シンガポールへ搬送

勤務先企業の緊急連絡担当がインターナショナルSOS東京アシスタンスセンターに支援を要請し、医療支援が始まります。インターナショナルSOSの医師は少年が治療を受けているランカウイ病院から医療情報を入手し、現状を把握を急ぎました。医師は少年の病状を安定させるため、マレーシア本土にある規模の大きな病院への転院を推奨。

1月25日深夜、少年はランカウイ病院の医療従事者に付き添われ、フェリーでスルタナ・バヒヤー病院に到着。同時進行で、担当医師から要請を受けたインターナショナルSOSのシンガポールアシスタンスセンターは医療専用機によるシンガポールへの搬送と、適切な処置が可能な現地医療機関の手配を進めました。少年は集中治療室(ICU)で治療を継続しながらも、依然として極めて危機的な状態が続きました。

シンガポールアシスタンスセンターは、シンガポールの受け入れ先医療機関のICUにベッドを確保、搬送を実行する日本人医師を含むメディカルエスコートチームを編成しました。1月26日午後9時、スケジュール通りに少年をシンガポールへ搬送しました。

シンガポールに到着し、1週間後に意識を回復

この医療搬送で最も困難だったのは、人工呼吸器という外部からの生命維持措置を用いながら、危篤状態にある患者を安定した状態で搬送することでした。少年は無事にシンガポールの受け入れ先医療機関に到着し、すぐに集中治療室に収容されました。1週間後に意識を取り戻し、同病院の治療で回復、元通り元気になりました。

総合的な判断と承認を経て実行される医療搬送

搬送にあたっては、父親とインターナショナルSOSに支援を要請した勤務先企業の緊急連絡担当者に最新の搬送計画が伝えられ、了承を得た上で実施されました。また、医療搬送に関わる費用についても、事前に勤務先企業の保険会社から承認を得て進められています。搬送は医療的に適切な判断と、コスト面の調整、関係者の承認といった一連のプロセスを、限られた時間の中で行って初めて実現するものです。

医療支援の総合的なプロセスには、下記のような項目が含まれます。

■ 医療モニタリング

■ 医療搬送

■ 医療費の支払い保証

■ 入院手配

■ 緊急メッセージの発信

■ 家族訪問の際の宿泊手配

■ 日本語通訳の手配  等

支援が開始されたときの状況、刻々と変化する患者の状態に対する医療的に適切な判断、国境をまたいでのスタッフの連携、関係者の迅速な協力によって命を救うことができます。海外での医療アシスタンスはこうしたプロセスを可能にするグローバルなネットワークがあってこそ実現できるといえます。

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