
皆様、こんにちは。2回目の登場となります、転勤族協会「TKT48」代表の奥田美和と申します。
2018年12月からお付き合い下さいましたこの「駐在妻コラム」も、今回で最後となります。今までご愛読下さり、誠に有難うございました。
最終回の今回は、昭和の日本の企業戦士だった父のこと、および、平成の日本の企業戦士だった夫のことついて書いてみたいと思います。
海外でゼロから事業を興した、昭和の日本の企業戦士たち
父は、祖父が社長の運転手を務めていたご縁で、高卒で石油開発会社に入社し、経理の仕事に就きました。平成~令和の今なら海外勤務をするのは大卒の社員かと思われますが、高卒なのに海外赴任に出され、結婚する前~私が生まれてしばらくは、インドネシアのジャカルタ勤務でした。
昭和の時代、様々な業界の企業が一旗揚げようと海外進出していましたが、その中でも石炭から石油へとエネルギー変換が進んだ日本を支える、重要なプロジェクトである石油開発。インターネットもパソコンも無かった時代に、日本語の通じない国で、高卒の20代の若者が経理の仕事をする...。大人になった今、自分が当時と全く環境で仕事ができるかと問われれば、難しいのではないでしょうか。
私の記憶に残っているのは、父がエジプト勤務になってから。ずっと単身赴任で、時折一時帰国していましたが、実家では祖父母も同居していたため「父がいなくて寂しい」という感情を抱くことはありませんでした。
たまに帰国する父に対して「お父さんが帰ってきた」と嬉しく思うものの、『父親の単身赴任が全く無かった』転勤のない家庭で育った娘に比べると、「父親/男性の威厳」が娘の成長に与えた影響はごくわずか。おかげで娘は、男女格差のないIT業界に就職しました。 嗚呼、可哀そうな、単身赴任が当たり前だった昭和の日本の企業戦士たち。
昭和の成果を拡充させた、平成の日本の企業戦士たち
私が小3~小5の時に家族で赴任したエジプトから本帰国する際、発展途上のバンコクに立ち寄りました。当時はまだBTS(モノレール)がなく、交通渋滞が酷い有様でした。
その20年後にタイ・バンコク転勤になった夫にとっては、初めての海外生活。しかし、バンコクはすでに日本の地方都市よりも発展しており、BTSチットロム駅~プロムポン駅周辺などはバンコクの新宿~新宿三丁目のような賑わいを見せ、暮らしやすい街へと進化していました。
私たちがタイに赴任中に、日本の援助で初めての地下鉄が開通し、ますます生活は便利になりましたが、同時に生活者の格差は広がっていきました。電車代が高くて乗れない現地の方もいたのです。当時は物価が日本の1/4だったので、確か120円ほどで乗れた気がしますが、120円あればラーメンを1杯食べられてしまうのです。
夫が具体的に何の仕事をしていたのかここでは詳しくは書けないのですが、「まるで昭和30年代の東京オリンピック直後 ~ 平成バブルが弾ける前の日本」をミックスしたようだった発展中のバンコクだけではなく、タイ全土や周辺国の社会インフラ向上のために、東京本社や地方転勤で身に着けたスキルや経験を存分に活かしていました。
そして、令和の日本の企業戦士たちへ
本当ならば、最近各社・各国が力を入れ始めた「宇宙事業」について記載し、「昭和~平成の日本の企業戦士が『国際人』を目指していたのなら、令和の日本の企業戦士は『地球人』を目指そう」と、『宇宙転勤』の可能性について論じようと思っていたのですが...。
3/13現在、ロシアのウクライナ侵攻は留まるところを知らず、ロシアから各国の企業撤退が相次いでいます。海外事業を展開している各業界各社、これから、ロシア戦略を含め全体像を見直す必要があるのでしょう。外資系会社では、ロシア駐在員をドバイに転勤させるケースも。
海外進出してゼロから立ち上げた昭和の企業戦士、それを拡大させた平成の企業戦士。本来ならば、さらに拡充させるはずだった令和の企業戦士。
もしかすると、昭和や平成のような「海外に出て成長したい!日本の力で海外を良くしたい!」という夢や希望だけでは通じない時代になっていくのかもしれません。
ただ、どんな時代になろうが、日本の企業戦士たちが海外に出向く限り...
私たち転勤族の配偶者(令和の時代は「妻」だけではなく「夫」も)は、日本を海外を支える、彼らの未来へ向かうための羅針盤となって支え続けるのでしょう。
最後までお読み頂き、有難うございました。
また、どこかのメディアでお目にかかる日まで...。
(リロケーション・ジャパン様の「リロの留守宅管理」https://www.tenrusu.jp/ の方では、広報部国内メンバーによる転妻コラムを連載中です。)
転勤族協会TKT48 広報部海外メンバー 一同
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