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【第25回】世界最悪の大気汚染大国・インド

2020.01.10

世界最悪の大気汚染大国・インド

転勤族の妻(略して転妻)がお届けする『現地発』のリアルリポート、今回はインド在住「TKT48」広報部兼海外メンバーのsayokoが、インドの大気汚染についてお伝えします。

深刻さを極めるインドの大気汚染

11月初旬、インドの大気汚染数値が1000を超えました。同時期の日本の数値は、東京で数十程度、山間部などは1桁台の日も珍しくない中、インドの大気汚染は日本のニュースでもトップで報じられるなど深刻さを極めています。

私の住むグルガオンやデリーなどの首都圏では、日本人学校を含む多くの学校や幼稚園が州政府からの伝達により臨時休校となり、緊急時以外の外出を控えるようアナウンスがあるなど、まさに「非常事態」でした。

なぜインドは大気汚染が深刻なのか?

インドの大気汚染はいくつもの要因が積み重なった結果、世界最悪レベルとなっています。

① ディワリ

『ディワリ』とは、インドにおける日本の年末年始の様な、ヒンドゥー教の祝日です。暦によって毎年日時は異なりますが、概ね10月後半から11月初旬頃です。この時期に大きな買い物をしたり贈り物をし合うなど消費も非常に盛んになり、インド人にとって一年で最も大切で大盛り上がりする期間です。

しかし、別名『光の祭典』とも言われており、インド全土で夜通し花火や爆竹を鳴らし続けており、深刻な大気汚染の引き金となっています。そのため、ディワリ前後からこの深刻な大気汚染シーズンの始まりとも言えます。

② ごみ焼き

インドではごみの分別は事実上ほぼ無く、基本的にごみは燃やしています。世界中で大きな問題となっているプラスチックごみも、カミソリの刃や陶器のお皿に電池なども、インドでは全て一度燃やされます。そのため常にごみ焼きをしている状態であり、大気汚染の一因となっています。

③ 野焼き

最大の原因とも言われているのが野焼きです。特に冬場は農作物の収穫が盛んですが、収穫後に廃棄する部分(茎など)を処理できず、それらを燃やし続けることにより発生します。九州ほどの面積を持つ農業の盛んな地域と首都圏が隣接しあっていることにより、その煙が流れ込んできている状態です。

特に冬場は雨がほぼ降らず、汚染物質が下がらないことに加え、内陸に位置する首都圏は海風による空気の循環がなく、汚染物質が滞留しやすくなっています。

その他にもインドの自動車の大部分を占めるディーゼルカーによる排気ガス等も挙げられています。

インドの大気汚染対策

インドの深刻な大気汚染に対して各国から非難が相次いだことにより、インド政府も近年ようやく対策に取り組みだしました。

① Odd Even

ピーク時に、デリー市内・他の市からデリーへの車の乗り入れを、奇数の日は末尾が奇数ナンバーの車のみ、偶数の日は偶数ナンバーの車のみと制限する政策です。しかし、結果的には富裕層を中心に車を複数台購入してナンバーを奇数と偶数を両方とも準備するなど、インド人の間でも全く意味がないと毎年不満が噴出しています。

② 脱プラスチック

意外かもしれませんが、インドは脱プラスチックが日本よりも進んでおり、2020年をめどに使い捨てプラスチックの完全廃止を目指しているとか。日本の10倍以上の人口が暮らしているため効果は目に見えて大きくは感じていませんが、飲食店では紙ストローでの提供へと切り替わり、なんとマクドナルドではドリンクを注文してもストローもキャップも提供されなくなりました。

③ 人々の意識

近年では、インド人の意識も大きく変わり、若者を中心に異議を唱える人は増え続けています。首都デリーでは若者が大規模なデモを起こしたり、政府に対してディワリ時の爆竹や花火の規制をするように呼びかけるなど行動を起こしています。

個人的な所感ですが、マスクの着用率も年々大幅に上がっており、室外での仕事に就く人々(交通警察官、ガードマンなど)も、大きな防塵マスクをしている姿も目立つようになりました。

インドで暮らすことと将来の健康に対して

この記事を執筆している12月上旬現在、11月初旬頃の息をするのも苦しく1メートル先が見えない状態は脱しましたが、それでも常に空気は煙がかかっており、汚染数値は200前後を記録し続けています。

また政府の発表によると、毎年100万人以上がインド国内で大気汚染を原因として命を落としているそうです。私たち外国人帯同家族は、車移動であるため深刻な状況の際に長時間室外にいなければならない状況はほぼありませんが、室内においてもたてつけの悪い窓から常に汚染物質が入り続けており、空気清浄機は常に危険値を示しています。

そうなると最大の関心は自身と家族の健康管理です。特に3歳の息子は遊びたい盛りであるにも関わらず、長期間の猛暑が終わったと思ったら過ごしやすい気温の秋・冬は大気汚染で全く外遊びができない状態であるため、ストレスを感じさせてしまっています。私自身はインドに来て5年目となりましたが、呼吸が浅くなったと感じる時もあります。

インドの大気汚染に対する日本の本社の対応は、周囲に尋ねてみてもどこも進んでいるとはいえず、何らかの措置(例:大気汚染シーズンのみ母子のみ帰国の要請、大型空気清浄機の複数台購入支援等)を打診しても、深刻な状況と捉えられないことが多いそうです。

もちろん各国特有に深刻な事情があることに加え、日本国内においても寒暖差が激しかったり生活する上での問題は発生するため、インドのみを優遇して措置を講じることはできません。しかし、環境面、人々の衛生意識、対策グッズひとつとっても全てにおいて発展途上中であるインドでは、自身でできる健康対策に限界がある事も事実であり、現在は問題が無くても将来の肺や呼吸器等への影響も心配が募るばかりです。

また、私たちは期間限定でのインドの暮らしですが、現地の方々は教育を受けられず、大気汚染に関する知識も無い人々も多くいます。経済規模は10年後には日本を抜き、20年後には世界一をも狙えると言われているインドですが、その裏で抱える問題が膨大である事も事実です。

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