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【後編】グローバル研修のすゝめ│求められる能力とその獲得

2019.03.22

海外赴任者が期待される役割やミッションを果たすには、どうすれば良いのか、そのために会社側にはどのような送り出しの支援が求められているのか。企業によっては、社内外の講師を活用した赴任前研修を行っているところもあるが、内容は千差万別。日本企業の海外展開が加速する中、グローバルに活躍できる人財に求められる要件、そのために必要な研修とは?

リログループでグローバル研修事業を担当しているリロ・パナソニック エクセルインターナショナル(株)の西川誠さんに話を伺った(全2回)。

非常に興味深い研修を実施しているリロ・パナソニックエクセルインターナショナルですが、ここで御社の研修の特長をまとめて教えていただけますか。

弊社の研修には3つの特長があります。一つは、パナソニックグループの海外事業展開で半世紀以上にわたって培ってきた現場での経験とノウハウをベースにしていることです。二つ目は、講師の大半がパナソニックグループ出身で、現地で経営責任者や部門責任者といった要職を歴任した現場経験豊富な講師陣を抱えております。講師自身の体験談や成功事例、失敗談なども含めて講義しますので、これから海外へ赴任する人たちにとって、とても参考になるはずです。

西川さん自身も、パナソニックグループ出身で海外経験豊富な講師ですね。

はい。パナソニックでは二回に分けて欧州5ヵ国、20年近くの赴任経験があります。一度目は英国~ギリシャ~スイス、二度目はドイツ~オランダでした。私の担当する欧州のエリアスタディ研修では、そのときの成功談、失敗談もお話しさせていただいています。

経験談をいくつか教えていただけますか。

英国勤務の後、ギリシャに外地間転勤となりました。着任早々、やる気満々でお客様のお困りごとを収集するべく販売店を訪問し始めましたが、代理店経営者からスパイ行為をしに来たと誤解され、「許可なく、勝手に店を回るな」と言われて口論となり、日本へ帰れとまで言われてしまいました。

当時の欧州本部長が急遽、英国から飛んできて、代理店経営者に対し、駐在員の役割を説明し、納得して貰い、何とか落ち着きました。今振り返ると、ギリシャ人は商売の前に先ず信頼関係の構築を優先し、「敵か味方か」はっきりさせた上でなければ商売が始まらないこと、トップが絶大な権限を握っている階級社会であることも理解できますが、当時は何も知らぬまま、壁にぶつかり、痛い目に遭って学ぶことの繰り返しでした。人間関係ができてからは、とても親密な仲になり、スイスへ外地間転勤する際には代理店経営者から惜しまれ、「それは彼にとってプロモーションなのか?もしそうであれば、喜んで送り出す」と上司に話され、感極まった想い出があります。

次に転勤したスイスでは、商売の進め方に関し、代理店の同僚たちと夜遅くまで是々非々の議論を重ねました。

当時は文化圏毎の特性を知らぬまま仕事をしてましたが、今振り返るとスイスを含むドイツ語文化圏では、会議室の中では議論を戦い合わせても、一歩、会議室を出ると、意見の違いが人間関係のしこりになるようなことはない、ということを体験したと思います。

日本へ帰国する際には、雪がしんしんと降り積もる山の上のシャレーで心のこもった送別会をして頂き、大きなカウベルを頂きました。代理店社長から「もしも日本で困ったことが起きたら、このカウベルを鳴らしなさい。私たちはいつでも貴方の味方です」という言葉を頂き、ここでも感極まった想い出があります。この時代のスイス人の同僚とは今でも交流があります。

いずれも30代での経験ですが、共通するのは、欧州ではその人の属性(会社での地位やタイトル、年齢)ではなく、人物本位で接して貰えるということです。子供の教育にも共通しますが、年齢差があっても、同じ目線で話をして貰えるのは素晴らしいことだと思いました。

40代半ばから二度目の赴任で、ドイツの汎欧マーケティング本部へ赴任し、欧州7ヵ国を担当する営業部門の責任者として、8か国の国籍を持つ20余名の部下を抱え、正に異文化の職場でした。特に苦労したのは、人事労務管理とEU競争法(独禁法)の恐ろしさでした。

当時は代理店経由の商売をしていましたので、競争法の3大モンスター(①再販価格の維持、②並行輸出入の妨害、③価格カルテル)に関しては、部下全員にコンプライアンス教育を徹底し、代理店とのコミュニケーションでは1件1件のメールにまで気を遣いました。文化的には先程のホフステード博士の6次元モデルで言いますと、ドイツと日本は、仕事への取組み姿勢に関しては比較的似ている文化の国と言えます。そんなこともあって、ドイツでの仕事は違和感がなかった方ですが、次に外地間転勤でオランダに赴任することになりました。

オランダはドイツの隣国なので、似たようなものだろうと考えていたのですが、間違いでした。社会全体が男性的か女性的かというホフステードの次元のスコアは、日本が95、ドイツは66ですが、オランダは14と、北欧並みに女性的な社会で、弱者にやさしく、コンセンサスを重視し、ワーク・ライフバランスをとても大事にしています。勤務時間も徹底していて、一部の幹部以外に残業する社員は殆どいませんでした。過剰な滞留在庫がある局面でも、さっさと帰宅してしまうんです。

責任者として、価値観や企業風土の違いに遭遇し、途方にくれた時期もあります。また、上司として逐一、報連相を求めたり、細部まで把握しようとすると、それはマイクロマネジメントですと言われ、日本と現地の間で板挟みになった苦い経験もあります。私がホフステードの6次元モデルを知ったのは、日本に帰国した後でしたが、もし赴任前に知っていたら、別のアプローチも考えられたかも知れないと感じた次第です。

まさに異文化の壁に当たってしまったわけですね。もしもその時代に異文化を理解する研修があったら、さまざまな対処を考えることができたかもしれませんね。

日本企業には、「行けばなんとかなる」という風潮が今でも根強く残っている気がします。

先に海外赴任を経験した先輩社員も後輩に対し、「俺も同じ苦労をしてきたのだから、君もがんばれ」といった具合です。しかし、時代は変わり、若い人たちの考え方も変わりました。一生海外に行くことはないだろうと思っていた人が、ある日突然、海外勤務を命じられるというケースも頻発しています。もはや行けばなんとかなるという状況ではなく、会社側もしっかりとサポートをする必要があると思います。

ここで話を戻して、御社の研修の3つめの特長を教えてください。

研修内容のカスタマイズです。標準版はありますが、それをそのままプロダクトアウト的にご提供するのではなく、赴任者の属性(現地での役職、海外赴任経験の有無、部下の有無、単身か家族帯同か、ご不安なこと、研修で学びたいこと、等)を伺い、受講者に合った内容にカスタマイズした研修を行います。

なるほど。極端に言えば、現地の会社の責任者として赴任する人もいれば、一担当者やトレーニーとして赴任する人もいますし、当然、それぞれで必要な知識なども違ってくるわけですね。

加えて、日本の企業では、海外に赴任すると日本よりも役職が2ランクくらい上がることが珍しくありません。たとえば主任クラスでも、赴任先ではマネージャーになり、現地人の部下を持つという未体験ゾーンに入ることも多くあります。そうなると人事労務管理や、財務管理、国際法務など、日本で経験したことのない様々な知識やスキルが必要になってきます。研修内容をカスタマイズすることで、それぞれの受講者に合った研修ができるようにと考えております。

研修の内容は研修会社によって千差万別だと聞きますが、リロ・パナソニックエクセルインターナショナルの研修は、きわめて実践的な内容と言えますね。

今日お話したのは、弊社の研修内容の一部です。他にも海外安全対策や企業理念、貿易実務等、様々な研修を用意しています。その他、「こんな研修は出来ないか」というご相談を頂けましたら、対応させて頂きます。定期的に無料の研修体験会も実施しており、スケジュールなどの詳細は弊社ホームページでも告知しており、ぜひご覧になってください。

海外赴任のための研修がどんなものかを知りたいという方だけでなく、研修内容を比較したいという人事部の方にとってもメリットがありそうですね。本日はありがとうございました。

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