多言語国家・インドの言語事情
転勤族の妻(略して転妻)がお届けする『現地発』のリアルリポート、今回はインド在住「TKT48」広報部兼海外メンバーのsayokoが、インドの言語事情についてお届けします。
インドは世界有数の多言語国家
日本では、どこを訪れても「日本語が通じない」ということはほぼありません。しかしインドは多民族・多言語国家であり、同じインド人でも、顔つき、肌の色、言語も各地域によって異なります。
一説では、インドでは方言を含めて1,000以上の言語が現在も話されていると言われています。しかし、日常的に広範囲で使用されている言語は州公用語として18、そこに準公用語となりつつある英語を入れて19の言語が今日のインドで主要に使用されています。
現在、インドの公用語として定められているヒンディー語ですが、公用語とはいえインド全域で話されているわけではなく、首都デリーや私の住むグルガオン等の北インドで主に話されています。その為、インドにはヒンディー語を全く話せないインド人も多数います。
ヒンディー語以外の主な言語としては、パキスタン国境付近で主に使用されているパンジャブ語やウルドゥー語、近年日本人駐在員が増加傾向にある南インド付近で主に使用されているタミル語、カンナダ語などがあります。
特に南インドは、同じインド国内であっても、気候も人種も全く異なっており、言語に関してもヒンディー語と互換性は全くなく、文字も大きく異なっています。
インドにおける英語事情
昨今の『IT大国』のイメージにより、インド人は英語が話せるというイメージが根付いています。元イギリス領のため、一定以上のカーストに属する方や、中流以上の家庭の方は、若年層を中心に各州公用語と英語のバイリンガルという方が多くいます。
しかし、インドは国民の多くが労働者階級層に属しています。接客業の方などは問題なく英語で意思疎通が可能ですが、簡単な英語でも通じない方、ごく簡単な英単語のみでしか会話ができない方が多いのも実情です。
異なった言語話者同士が会話をする際には、インド人同士でも片言の英語で会話をすることもありますが、双方ともに英語が話せない場合は、インド人同士なのに会話ができないという事態も珍しくありません。
そのため、それらを解消するために、若年層からのより一層の英語プログラムの強化、看板等も各州の言葉よりも英語で書かれているものを採用するなど、世界有数のスピードで英語化が進められています。
インド英語、「Hinglish」ってなんだ!?
インドでは、非常に流暢な英語を話す方でも、「Hinglish」と呼ばれるインドなまりの強い英語(インド英語)を話す方が多く、英語に自信のある方でも、最初は聞き取りに大変な苦労をしています。
(例)「water」⇒ ウォタル、オタル
「birthday」⇒ バ(ル)タダイ
最初の文字にアクセントをつけ、一気に読むイメージです。それに加えて「r」は発音をしない語であっても「ル」と発音するものも多く、読めるままに発音するのが大きな特徴です。
また、元イギリス領のため、スペルはイギリス英語表記です。
(例)「center」⇒「centre」
読み方はそのまま「センター」ですが、インドでは「セントレ」のように聞き取れます。
他にもインド特有の英語での言い回しや口文法などもあり、私自身も日本では英会話に自信がありましたが、Hinglishに苦しみました。
我が家の「英語ルール」
【インド人(外国人)を交えて話す場面では、家族間でも日本語ではなく英語で話す】
我が家では家族間の会話は基本的には日本語を用いています。しかし、メイドやドライバーなどと話す際には英語が必要であること、息子がインターナショナルスクールに通っていることから、日常生活にも積極的に英語を取り入れるため、家族間ルールを設けました。
拙い英語ながらも、積極的に英語でコミュニケーションを図ることで、家族全員の意識が高まること、息子がスクールで英語がわからずに困らなくて済むこと、英語訳をし直す二度手間を省くことができるなどのメリットが盛りだくさんです。
帯同家族に必要な語学力は?
帯同家族の中にはあまり英語を話せず、日本人間のみのお付き合いをされている方もたくさんいらっしゃいます。また、日常生活で接するインド人の多くは、完全な英語話者は少なく、結果的に単語の羅列で会話をすることになるので、流暢な英語を必要としない場面の方が多いのが実情です。逆に言うと、インド転勤に帯同するには高度な英語力は必要としません。
しかしながら、英語は話せるに越したことはありません。基本的な英語が話せると、格段に得られる情報が増えることも事実です。私の住むアパートメントでは、日本人以外の外国籍の方も多く在住しており、息子の遊ぶ公園で様々な国籍の親御さんと顔を合わせる機会が非常に多くあります。その際に簡単な英語でもコミュニケーションをとることができれば、思わぬ有益な情報を得られたり、交友関係も大きく広がります。
今後のインドの言語事情は?
先日G20大阪サミットが行われ、インドのモディ首相も来日しました。そのモディ首相は「ヒンドゥー至上主義」と言われており、インドの国教であるヒンドゥー教に基づく政治思想であると位置づけられています。そのインド13億人のトップであるモディ首相は、ピュアベジタリアンを貫くほどの敬虔なヒンドゥー教徒です。また彼を支えているのも数多のヒンドゥー教徒であることに間違いはありません。
上記にて述べたように、現在インドでは英語化が進められています。しかしながら、ヒンドゥー至上主義者も多く、また、彼らがインドを支えていることに間違いはありません。そのため、英語がインドの正式な公用語として登録されるのには時間を要すると言われています。
とはいえ、インドでは英語化が進められていることにより、現地語が全く理解できない方でも看板を読むことができたり、コミュニケーションをとりやすいことも事実です。他民族・多言語国家のインドであるからこそ、誰もがインドへ飛び込みやすいのもインドの大きな魅力です。
【こちらのコンテンツもご覧ください】リンク:インド転勤これがあれば大丈夫!インドにはこれを持って行こう!
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