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アジア インタビュー 受け入れ手続き 在留資格 外国籍社員受け入れ 日本 特集 鶴野 祐二

【中編】外国籍社員受け入れに際する在留資格のポイントとトレンド

2019.01.16

INTERVIEWインタビュー

年々拡大する外国人籍社員の雇用・受け入れ。人事の現場で最初の問題となるのが、在留資格の取得に関する手続きだ。専門知識が必要なうえ、法改正も多いため、思わぬトラブルに陥るケースも少なくない。多くの企業が専門家に申請手続きの代行を依頼しているのはそのためだ。そこで今回は、海外法務労務のプロフェッショナルとして数多くの企業から厚い信頼を受けている行政書士法人『シンシアインターナショナル』の鶴野祐二先生に、在留資格にまつわるよくある落とし穴や、近年のトレンドなどについておうかがいした(全3回)。
【話し手:鶴野 祐二(行政書士)│聞き手:海外赴任LAB編集部】

編集部

技能実習生や研修などの在留資格の他にも、増えている相談内容はありますか?

 
 
 
 鶴野
 
 

海外の学生に日本での就業体験をしてもらう"インターンシップ"の在留資格についてのご相談が多いですね。とりわけIT系の企業さまからの相談は非常に多くなっています。インターンシップといっても、やはり色々な種類があります。ひとつは日本に留学中の外国人の学生をインターンシップとして受け入れるケースです。資格外活動の許可を取ることで、週28時間を上限として仕事ができ、また、大学の夏休みなどの休暇中であれば週40時間以内まで可能となるものです。このケースでも、報酬が発生するものとしないものとで在留資格が異なります。発生する場合は"特定活動"という種類の在留資格が適用されます。外国の大学と企業さまとで受け入れるための基本契約を締結することや、日本での活動が基本的に大学での単位取得として認められることなどが要件となります。報酬が無い場合は、"文化活動"という在留資格になります。

編集部

優秀な外国人を採用したい企業にとって、インターンシップには、優れた人材に早い段階からコンタクトできるというメリットもありますね。

 
 
 
 鶴野
 
 

学生側にとっても、将来を選択する上での貴重な経験ができるというメリットがありますよね。実際にIT系企業では、インドからの留学生に"特定活動"のインターンシップとして働いてもらい、本国に戻って卒業したあとに、今度は"技術・人文知識・国際業務"の在留資格を取得してもらって、あらためて日本に来て入社してもらうというケースがあります。場合によっては"高度専門職"という在留資格になることもあります。

編集部

"高度専門職"とはどんな在留資格なのでしょうか。

 
 
 
 鶴野
 
 

平成24年に新たに創設された在留資格です。簡単にご説明すると、専門分野における一定以上の高度な知識やスキルなどを持つ優秀な人材について、日本への受け入れを促進することを目的として作られた資格です。在留期間や家族の帯同などの条件緩和や、複合的な在留活動が許容されるなどさまざまなメリットがありますが、中でも大きなメリットとなっているのが、永住許可申請についての要件の緩和です。通常は日本に来てから10年経過しなければ永住許可申請ができないのですが、高度専門職は3年以上で申請可能になります。また、高度専門職では年収や学歴、年齢、職歴など、さまざまな項目についてポイントが付与される"ポイント制"が導入されているのですが、積算が80点以上となると、1年経過した時点で永住許可の申請ができます。

編集部

日本に永住を希望している外国籍の社員にとっては大きな魅力ですね

 
 
 
 鶴野
 
 

実際、外国籍社員ご本人から企業側に高度専門職で在留資格を申請できないかという要望が出されることが増えています。人事部にとっては、選択肢が増える分だけ、確認事項も増えますし、希望に対応するために、より幅広い知識が必要になったりします。そのため、弊社では、どうしたら取得できるかという人事部からの相談が増えています。

編集部

"高度専門職"の在留資格取得は、外国籍社員には大きなメリットですが、企業側にとってはどうなのでしょう?

 
 
 
 鶴野
 
 

企業側にもメリットがあります。従来の"技術・人文知識・国際業務"の在留資格は、本人にひもづけられる資格なので、転職しても届け出をすれば在留資格が継続できます。対して高度専門職は、所属先企業も含めて認定されるため、退職すると在留資格を変更しなければなりません。そのため、優秀な人材の流出を防ぐというメリットを企業側にもたらします。

編集部

メリットの多い在留資格だけに、申請の手続きも他とは違う手間がかかりそうな気がします。

 
 
 
 鶴野
 
 

年収や学歴の証明書や、過去の全職歴の在籍証明が必要になるなど、申請に必要な書類も他の在留資格より多いですし、それにともなって手続きの時間も長くかかります。弊社ではご依頼いただく企業さまの要望に合わせて、たとえば当初はリードタイムを短縮できる一般就労の在留資格を申請して、来日後にあらためて高度専門職に変更するなど、ケースバイケースで対応策をご提案しています。

編集部

永住権を取りたいという希望を持つ外国籍社員は多いのですか?

 
 
 
 鶴野
 
 

そうですね。在留資格の問題や手続きなどは、転職や仕事を変えるうえで常につきまといますが、永住許可を取得できれば、そうした心配もなくなりますからね。

編集部

永住許可の近道になる"高度専門職"を希望する外国籍社員の方は今後さらに増えていくかもしれませんね。取得手続きは手間がかかるかもしれませんが、そこにしっかり応えられる人事部なら、優秀な外国の人材にも信頼されそうです。

 
 
 
 鶴野
 
 

実際、応えたいとお考えの企業さまも多く、永住権に関係する在留資格のご相談も増えています。例を挙げると、日本で採用した外国籍社員が海外に赴任して、数年後にふたたび日本に戻ってくるという場合に、もともと日本にいるために取得した在留資格が。海外に赴任しても継続できるのかというご相談ですね。本来ですと、海外の長期赴任の際には日本での在留資格をいったん返納して、日本に戻ってくるときにふたたび交付申請するという手続きになります。けれど、返納してしまうと、永住許可を申請する要件である日本の在住実績がゼロになってしまうのです。

編集部

場合によっては赴任を辞退したいという話にもなりかねませんね。

 
 
 
 鶴野
 
 

実際、かなりの相談件数が寄せられています。弊社では、日本の会社に在籍したまま海外に出向したという形で申請することで、在留資格の継続を認められた実績がいくつもあります。全てのケースで必ず認められるというものではないので、どういう状況でどんな書類が必要かなど、全体をしっかり設計して申請することが大事です。

編集部

そうとうなノウハウが必要となりそうですね。在留資格申請の代行をどこに頼むかによっても、差が出てきそうな分野ですね。


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