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インタビュー 日本 海外給与/処遇 海外赴任規程 花田 誠治 購買力補償方式

【前編】AIRINCデータによる公平な駐在員福利厚生制度の策定

2019.03.02

INTERVIEWインタビュー

海外駐在員にとって、赴任に関する福利厚生制度は、給与制度と並んで仕事へのモチベーションを大きく左右する要素。とはいえ、ライフスタイルが多様化している昨今、駐在員の要望も千差万別。ひとりひとりのニーズに柔軟に対応しながら、客観的な根拠にもとづいて公平な福利厚生制度を策定することは、むしろ給与制度の策定よりも難しく、頭を抱えている人事担当者も少なくない。AIRINCでは、そんな難問を解決し、さらには人事担当業務の大きな効率化も実現する様々なデータを用意。その一例についてうかがってみた。
【話し手:花田 誠治│聞き手:海外赴任LAB編集部】

編集部

海外駐在員の福利厚生については、人事担当の現場ではどのような悩みを抱えているのでしょうか。

 
 
 
 花田
 
 

福利厚生とひとくちに言っても、一時帰国の費用をはじめ、任地で暮らすための家具や家電、自動車の購入、水道光熱費、子どものための教育費用など、項目は多岐にわたります。しかもこれらは、駐在員本人だけでなく、その家族からも不満が出やすい項目ばかりです。そのうえ、ライフスタイルや価値観の多様化も進んでいますから、もはや駐在員ひとりひとりのニーズに全て応えることは事実上不可能です。そんな事情があるにもかかわらず、人事担当者に求められているのは、海外駐在員がしっかり納得して、仕事へのモチベーションを維持できる公平な福利厚生制度を策定することです。いったいどうやってそれを決めたらいいのか。そしてそのための膨大な手間をどのように効率化するか。この2つがもっとも大きな悩みではないでしょうか。

編集部

これまではどのように対処していたのでしょうか?

 
 
 
 花田
 
 

福利厚生を考えるためには、赴任先の生活環境や習慣の違いも考慮する必要がありますが、それら全てを人事部だけで調査・把握することは不可能です。そのため、「とりあえず処遇を手厚くしておく」という考え方の企業が多かったと思います。ですが、日本企業の海外進出が加速し、派遣する駐在員の数が多くなっている今、コストの適正化は重要な急務となっています。また、必要以上に手厚い処遇は、逆に駐在員が日本に帰国した際のギャップが大きく、モチベーションを下げる原因にもなりえます。

編集部

こうした問題はどのように解決すべきなのでしょうか。

 
 
 
 花田
 
 

福利厚生の「手当化」というアプローチが有効な選択肢として挙げられます。福利厚生を手当化することで、人事サイドからは「駐在員各人の細かい要望はこの手当の中でやりくりして欲しい」と言いやすいですし、駐在員自身にとっても、ライフスタイルに合わせて自分で使い道を選択できるというメリットがあり、近年、欧米企業を中心にトレンドになっています。

編集部

不必要な手厚い処遇を適正化した場合、客観的な根拠が示されていないと、駐在員には単なるコストカットに見えてしまいます。ゆえに、駐在員が納得できる公平性が確保されているかどうかは、福利厚生でも非常に重要ですね。とはいえ、一般的なデータサプライヤーでは、福利厚生を決めるための客観的データは、「生計費指数データ」ほど充実していない印象があります。

 
 
 
 花田
 
 

AIRINCでは福利厚生の手当化に活用できるデータ収集にも力を入れており、その充実ぶりは弊社の強みのひとつになっています。

編集部

どのようなデータを提供しているのか、具体的に教えていただけますか。

 
 
 
 花田
 
 

まずは「AIRFARE DATABASE」です。これは一時帰国などに必要な航空運賃をデータベース化したものです。遠隔地や小規模な場所も含めた1,000通り以上ものルートの運賃データを取集しており、座席クラスについてもエコノミーとビジネスの料金表示が可能で、キャンセルにともなう返金可否のチケットオプションもご利用いただけます。また、四半期ごとに各ルートで少なくとも10~20通りの運賃を収集していますから、データは常に最新で、なおかつシーズンや航空会社などを指定することができます。ユーザーが指定する仕様に基づく平均価格帯を分かりやすく示していますから、企業のポリシーによって、平均値をそのまま利用したり、平均の上下で手当を設定したりすることも容易です。

編集部

一般的なデータサプライヤーには無いデータですね。内容のきめ細かさにも驚かされます。

 
 
 
 花田
 
 

データベースに基づいて一時帰国費用を手当化すれば、これまで人事部が行なっていた細かくて膨大な業務、たとえば、運賃の調査やルートの組み合わせ作業をはじめ、駐在員の帰国申請をチェックして航空チケットを用意したり、実際の帰国状況のチェック、座席のアップグレードなどのリクエストへの対応などといった業務が一気に軽減できます。また、予算がより明確になりますから、コストの低減にも繋がります。一方の駐在員にとっても、航空運賃が高いお盆や正月といったピーク時を外したりLCCなどを利用するといった工夫をすれば、1回の帰国を2回に増やせたり、浮いた手当を帰国時のお土産代に使ったり、座席のグレードを選択したり、さらには到着先まで自由に決められるようになります。

編集部

コストを削減しながら、駐在員の満足感も高められますね。他にはどのようなデータがあるのでしょうか。

 
 
 
 花田
 
 

家具・家電について各国の費用情報をまとめた「FUNITURE ALLOWANCE REPORT」も、一般的データサプライヤーには無いデータです。駐在員の現地での家具・家電品の購入費の補助額、つまり手当を、国ごとの物価差や為替レートの変動に左右されることなく公平に設定するために役立ちます。家具・家電品の数は、そこに住む赴任者家族の人数や、それにともなう家の広さによっても違いますから、それらの条件をあらかじめご指定いただき、それに合わせたデータを提供します。情報は毎年見直しを行いますので、つねに最新の物価情報に基づいた手当設計が可能になります。国によっては家具付き不動産が一般的な場合もありますが、家具手当と家電手当を分けたデータを提供するといったオプションもご用意できます。

編集部

区分したデータがあれば、大幅なコスト削減が可能ですね。

 
 
 
 花田
 
 

家具・家電品の購入費補助を行う企業は多いのですが、現地の責任者に一任されていることが多く、地域間の不公平性が生じがちです。かといって、むやみに低く設定すると、駐在員が不満を抱えるようになります。結果、高めの額に設定せざるをえないというケースが多いのです。

編集部

最近は家電品の種類も豊富で、どの程度の性能を求めるかも人それぞれ価値基準が違いますから、手当化はそこでの不満の発生も防いでくれそうですね。

 
 
 
 花田
 
 

おっしゃる通りです。たとえば、国によっては水道に浄水器が必要となる環境もありますが、ある企業では駐在員から洗濯機の水道用にも浄水器をつけたい旨をリクエストされた事例がありました。こうした嗜好をどこまで認めるか、その線引きは非常に難しいですよね。手当化はそうした例外的な事例についても対応しやすいと言えます。

編集部

客観的な根拠に基づいて決められた手当なら、駐在員も納得できますね。


後編のコンテンツはこちら→【後編】AIRINCデータによる公平な駐在員福利厚生制度の策定

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