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アジア インタビュー 日本 海外給与/処遇 海外赴任規程 特集 花田 誠治 購買力補償方式

【前編】AIRINCデータが多くの企業で選ばれる理由とは

2018.10.22

INTERVIEWインタビュー

日本企業の海外展開が加速する昨今、人事担当者の頭を悩ませている課題のひとつが、海外駐在員の給与処遇。
求められるのは、実態に合った適正なコストとなっていると同時に、駐在員が不公平感を覚えることなく、仕事へのモチベーションを維持できる内容であること。そんな給与処遇を決定するための根拠として、数多くの日本企業にて採用され始めたのが、AIRINC社の「生計費指数データ」。日本の企業が、世界のデータプロバイダーの中から「AIRINC」を選ぶ理由とは?
【話し手:花田 誠治│聞き手:海外赴任LAB編集部】

編集部

海外駐在員の給与処遇の見直しに取り組む企業が増えていますが、どのような背景があるのですか?

花田

日本企業の本格的な海外進出が始まった30年ほど前は、海外への赴任が未だ特別な時代でしたので、企業も手厚い処遇を駐在員に提供していました。しかし、今では海外進出が当たり前となり、海外駐在員の数も大幅に増加しています。通信インフラの改善など、駐在員を取り巻く環境も世界的に変化し、日本本国と海外との結びつきも容易かつ低コストで可能になっています。かつてのような手厚い処遇を、時代に合わせて適正化しようというのは、いわば自然の流れと言えるでしょう。また、赴任先となる拠点も増えていますから、駐在員の方々が「A国よりもB国に赴任する方が得だ」といった不公平感を抱いたりしないためにも、しっかりとした根拠に基づいた処遇の決定や、その根拠を駐在員にきちんと説明する必要性が高まっていることも、背景のひとつになっています。

編集部

見直しの動きがある「手厚い処遇」の具体的な例を教えてください。

花田

たとえば「医療費」への補償です。多くの企業では、海外駐在員が日本と同じ水準で生活できるよう、物価の差を給与の中で補償しようというルールを設けており、海外で高額となる医療費もその対象です。しかし実際には、医療費の補償とは別に企業側で医療保険をかけていて、たとえ駐在員が赴任先で医療を受けたとしても、医療費負担が実質的にゼロとなっているケースが多いのです。

編集部

実態に即していないため、医療費の補償が駐在員の余得になってしまっているわけですね。

花田

こうした不必要な部分を省けば、その分を他の福利厚生に充てるなど、処遇を総合的に充実させることもできます。今は、環境が厳しい新興国にも積極的に進出しなければならない時代ですので、そうした国へ赴く駐在員にハードシップ手当を加算する必要もあります。それらの必要手当をより充実させたいという考えで、実態に即した給与処遇の適正化に取り組む企業も少なくありません。

編集部

AIRINCのデータは、単純に物価の差を表すだけでなく、赴任先での生活実態までしっかりと織り込まれているのですね。

花田

リアルな実態を指数に反映させるために、AIRINCでは駐在員の任地における生活パターンを常に調査しています。たとえばミネラルウォーターの購買パターンなどは分かりやすい例でしょう。仮に赴任先でのミネラルウォーターの価格が日本の4分の1だとします。ところが、赴任先が水道水をそのまま飲めない環境の国だと、ミネラルウォーターの購入頻度も高くなります。つまり、物価の差だけを見ると4分の1ですが、4倍の量を買えば出費の総額は変わらないわけです。このように、きめ細かい生活パターンの分析結果まで指数算出のプロセスに加えているのは、AIRINC独自の特長です。

編集部

生活実態の把握はどのように行っているのですか?

花田

AIRINCのデータをご利用いただいている企業様の海外駐在員にヒヤリング調査を行っています。ヒヤリング調査は他のデータプロバイダーでも行っていますが、対象地域や対象企業様を選ばずに、全世界の全てのクライアント企業様が参加できる体制で調査しているのは、AIRINCならではだと思います。

編集部

海外赴任に慣れた人と不慣れな人とでは、同じ地域で調査しても、生活パターンに違いが出るということがあるのでは?

花田

おっしゃる通りです。ミネラルウォーターの購買パターンにも当てはまる話ですね。企業側の方針も、たくさん飲む人に焦点を合わせる企業もあれば、平均的な消費量の人を基準にして標準給与を処遇したいと考える企業もあるなど、様々です。そのニーズに応えるため、AIRINCでは、海外駐在に伴う支出の変化を分析して、3パターンの生計費指数を作成しています。ひとつは駐在先での大幅な支出増を想定した指数。ふたつ目は若干の支出増を想定。そして3つめが、赴任前の本国での購買パターンのみの支出を想定した指数です。世界中のどの拠点についても3つのパターンの指数を提供できるのは、AIRINCだけだと思います。

編集部

あらゆる拠点で提供できれば、赴任国によって処遇に不満が出るといった問題も生まれにくいですね。

花田

駐在員に実施するアンケート調査の結果は、生計費指数データの基本となる物価の調査にも活かされています。たとえば物価調査をする対象店舗の選び方もそのひとつです。海外での駐在員の購買実態を考慮すると、青空市場のような場所で物価調査をしても意味がありません。高級デパートのような高品質のブランド品を取り扱う店舗を選ぶのが基本です。ですが、生活パターンの調査からは、高級デパートでも買い物をするけれど、近所の全国チェーンのスーパーのような場所でも安全に買い物をしている駐在員の暮らしが把握できる場合があります。このようにAIRINCでは、アンケート結果に基づき、駐在員の生活実態に即した様々なタイプの店舗を物価調査の対象としています。

編集部

実態に即しているうえに、情報量も非常に多いですね。

花田

さらに特長的なのは、物価の調査を現地の契約エージェントに委ねるのではなく、AIRINCの社員自らが赴いて実施していることです。そのため、価格という「結果」だけの調査に終わらず、なぜその価格になったのかという「理由」も含めて把握できるのです。たとえば、鮮魚の価格が上昇していた場合、たまたまその年だけ不漁だったのか、あるいは別の理由で上昇したのかによっても、「価格」が持つ意味も変わってきます。ならば別の指標も参考にしながらデータを作ろうといった動きを取ることもできますし、また、データが変動したときの根拠をクライアント企業様にしっかり説明できるという利点もあります。

編集部

他社のデータを利用している企業にとっては、給与処遇の現状確認や今後の方向性の再検証をするための、いわばセカンドオピオニオンとしての活用が期待できますね。

花田

この他、調査品目の約370という数の多さをはじめ、約150ヶ国という本国データ数や、500都市以上という任地データ数の多さでも、AIRINCは抜きんでています。

編集部

本国データ数の多さには、どのような意味があるのでしょうか?

花田

グローバル化という潮流の中で、日本人が海外に赴任するだけでなく、海外から日本に人材を招くケースも増えています。そうした海外人事の処遇決定に対応するためには、本国データ、つまり赴任する前に暮らしていた国のデータを充実させることが必須です。本国の物価や税制に関するデータが揃っていなければ、各国からの赴任者を公平に処遇することができませんからね。

編集部

AIRINCの生計費指数データは、海外駐在員の生活実態だけでなく、時代の変化に伴う企業活動の実態にも合っていると言えそうですね。本日は有難うございました。

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