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アジア インタビュー 日本 海外給与/処遇 海外赴任規程 特集 花田 誠治 購買力補償方式

【後編】AIRINCデータが多くの企業で選ばれる理由とは

2018.11.12

INTERVIEWインタビュー

日本企業の海外展開が加速する昨今、人事担当者の頭を悩ませている課題のひとつが、海外駐在員の給与処遇。
求められるのは、実態に合った適正なコストとなっていると同時に、駐在員が不公平感を覚えることなく、仕事へのモチベーションを維持できる内容であること。そんな給与処遇を決定するための根拠として、数多くの日本企業にて採用され始めたのが、AIRINC社の「生計費指数データ」。日本の企業が、世界のデータプロバイダーの中から「AIRINC」を選ぶ理由とは?
【話し手:花田 誠治│聞き手:海外赴任LAB編集部】

編集部

近年では環境が厳しい新興国への海外駐在も活発です。そこでの給与処遇を考えるためには、物価の差を補うだけでは十分と言えない気がします。

花田

おっしゃる通りです。生活環境が整っていない国であっても、市場として非常に魅力的であるため、駐在員を送り出すというケースが増えています。しかしその際に、欧米に赴任するときと同じ給与、同じ物価差補償だけでは、社員も行くことを躊躇しますし、不満も出ますよね。そんな物価差ならぬ生活環境の差を補償するために、多くの企業が給与にハードシップ手当を加算していますが、その妥当性を評価するためのハードシップデータも、AIRINCの得意分野のひとつなのです。

編集部

AIRINCのハードシップデータの特長を教えていただけますか?

花田

特長のひとつは、ほぼ全ての都市でハードシップの評価が可能なことです。評価対象としている都市はおよそ2,000ですが、AIRINCでは実地調査している近隣都市の情報や、人口や経済指標をはじめとした様々な数値を元に、A評価対象都市のハードシップ度を分析することが可能です。

編集部

ハードシップ度の分析ノウハウを、AIRINCはどのように獲得したのですか?

花田

AIRINCは1950年代にデータの提供サービスを開始しているのですが、当初は石油業界の給与処遇に関する調査をお手伝いさせていただく機会が多かったのです。ご存知のように、石油の採油現場は僻地が多いため、そうした何もない場所で生活環境に関する補償をどう解決するかという難問に長年にわたって取り組み続けた結果が、独自のノウハウの蓄積に繋がったのです。このノウハウはハードシップ評価だけでなく、生計費指数など、他のデータの作成においても活かされています。

編集部

幅広い地域で物価や駐在員の生活パターンをきめ細かく調査してきたという経験も、どのような要素がどうハードシップ度の評価に影響するのかといったノウハウにも繋がるでしょうし、そうした蓄積は分析の確度をさらに高めているのでしょうね。

花田

AIRINCのハードシップ評価のその他の特長としては、常に最新状況が反映されるように年4回のレビューを実施していることや、様々な情報ソースを併せて活用することで、現地の"肌感"に合ったデータが提供できることなども挙げられます。

編集部

他のデータプロバイダーの中には評価対象とする都市の数が150~200程度と限られているケースも見受けられます。データのない小さな地域の評価も、近隣の大都市のデータがあれば、それで十分間に合うような気がするのですが?

花田

いいえ、海外駐在員の実際の生活環境は、ほんの数十キロ離れただけでも、近隣の都市と大きく異なっている場合があります。そうした現状があるにもかかわらず、離れた「代替都市」の評価のみに基づいてハードシップ手当を設定してしまうと、実態からかけ離れたものになってしまいます。

編集部

そうなのですね。駐在員にとっては、治安が悪い地域へ赴任した際の処遇への不満は、物価差以上の大きな不満になりそうですが、実態に即したきめ細かいデータが使われていると、処遇に対する不満も出にくそうですがいかがでしょうか。

花田

給与処遇やハードシップなどの手当だけでなく、任地で暮らすための住宅に対する補助も、海外駐在員にとっては重要な問題です。ですが、実際には現地まかせにしているという企業も少なくなく、所属長の感覚次第で住環境が大きく変わってしまうというケースもあり、そうなると、駐在員からは公平性に欠けているといった不満が出てきます。AIRINCでは、そうした問題解決の一助となる住宅費情報の提供サービスも行っています。独自の特長としては、役職別・家族人数別の推奨上限家賃をエリア別に提示した表も作成できることや、水道光熱費についての内訳や根拠も提供できることが挙げられます。単に任地での住宅相場を羅列したようなデータと違ってメンテナンスも容易ですし、また、上限家賃の範囲内であればベッドルームの数を自由に決められるなど、駐在員ひとりひとりが自分の好みに合わせた住まいを選びやすいといったメリットもあります。

編集部

データによって任地での処遇を合理的に決めていくというAIRINCの考え方は、欧米的な良さと言えそうですが、住宅費情報については、ちょっと大げさな言い方かもしれませんが、日本的な気づかいのようなものを感じます。

花田

それは面白い見方ですね。ですが、とても腑に落ちる見方です。AIRINC社は1954年に米国マサチューセッツ州ケンブリッジで設立されました。マサチューセッツ工科大学やハーバード大学などがあるとてもアカデミックなエリアです。それらの大学の学生たちが海外の物価調査を依頼されたことが会社設立のきっかけでした。そうした事情から、とても研究者気質な面があり、精力的にビジネスを広げるというよりも、限られたクライアントだけを相手に、より深く、きめ細かいサポートをしていくというスタンスを貫いてきたんです。そんなわけで、老舗と呼んでもいい社歴を持ちながら、日本でのデータサービスをスタートしたのは2011年になってからなのです。2016年にはM&Aによって、リログループの子会社となりました。一方のリログループは、もともとは企業が抱える従業員福利厚生の問題を解決するというビジネスでスタートした会社です。日本初となる従業員福利厚生のアウトソーシングや、これも日本初の転勤者の留守宅管理「リロケーションサービス」などを手掛けて成長してきました。いわば、日本企業の人事・総務部のあらゆる問題を解決するというコンセプトの会社なのです。こうした2社の成り立ちを考えますと、欧米的な合理性と、日本人ならではの精神のようなものが融合しているように見えるのは、すごく自然なことなのかもしれませんね

編集部

お互いの長所が活かされ、それがAIRINCの独自性になっているようですね。

花田

日本の企業は厳しい目をお持ちですから、データサービスに対しても要求レベルが非常に高いんです。そうした要求に真摯に応えるという経験は、AIRINCの大きな財産になっています。

編集部

今回は「生計費指数データ」「ハードシップデータ」「住宅費データ」の3つの商品についてお訊ねしましたが、データが実態に即していることや、データの内容が非常に緻密できめ細かいこと、データの根拠をしっかりと説明できることなどは、どの商品にも共通している特長ですね。AIRINCのデータを選ぶ日本の企業が増えている理由が、とてもよく分かりました。本日はありがとうございました。

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