【2021年1月23日│上海現地レポート】新型肺炎に関する状況について
本内容は、弊社上海現地法人の駐在員の見解です。
公式に発表されたものではありませんのでご留意願います。
新型肺炎に関する状況について
湖北省武漢が閉鎖されてから1年が経ちました。上海でも 一気に 緊張が高まり上海市民の多くもマスクを着用し、街から人影が消えたことがずいぶん昔のように感じられます。年末から上海も 本格的な寒さに見舞われ、最低気温が氷点下8℃まで下がり、元旦には日中の最高気温も氷点下という寒さでした。
当初の予測通り、河北省や北京市及び周辺の遼寧・吉林・黒竜江の各省を中心に国内感染事例が多発し、一部の都市は事実上のロックダウン状態に置かれています。そして上海でも約2か月振りに国内感染事例が出てしまいました。上海市政府などが集中する市内中心の人民広場から観光名所の外灘の中間にある1区画が中リスク指定され社区が封鎖されました。感染者の勤務先の上海交通大学付属仁済医院と復旦大学付属腫瘤医院の外来受付が停止しました。濃厚接触者を含む病院と社区での集中検査の結果 、22日現在で計6名の感染が確認されています。
地域間異動に関わる各地の規制について (2021年1月22日現在)
【高リスク地域】
河北省石家庄市藳城区
河北省石家庄新楽市
河北省邢台南宮市
黒竜江省綏化市望奎県恵七鎮
吉林省通化市東昌区
【中リスク地域】
上海市・北京市・遼寧省・河北省・黒竜江省の特定地域61地区
<外地から入った場合の隔離阻止>
※状況は刻々と変化しますので、国務院のサイトで都度ご確認ください
■都市:上海
■出発地―必要となる隔離状況
①国外―指定ホテル(14日)
②高リスク地域―指定ホテル(14日)
③中リスク地域―自宅(14日)
■都市:北京
■出発地―必要となる隔離状況
①国外―指定ホテル(14日)+自宅(7日)+健康観察(7日)
②高リスク地域―指定ホテル(14日)+健康観察(7日)
③中リスク地域―自宅(14日)+健康観察(7日)
■都市:蘇州
■出発地―必要となる隔離状況
①国外―指定ホテル(14日)+自宅(14日)
②高リスク地域―指定ホテル(14日)
③中リスク地域―指定ホテル(14日)
■都市:広州
■出発地―必要となる隔離状況
①国外―指定ホテル(14日)+自宅(7日)
②高リスク地域―指定ホテル(14日)
③中リスク地域―自宅(14日)
国外からの入国者(国籍を問わず)については、全体として隔離期間が長くなる傾向にあります。また、従来認められていた、初期段階での自宅隔離は殆ど認められなくなっています。健康観察期間中も外出には地元居民委員会の許可が必要で、許可された場所以外へ立ち寄ると罰則を受けることとなります。
春節に向けた規制などの注意事項
・1年の中で最も多くの人が移動する春節(2021年は2月11日から17日まで)を控えて、各地の政府が人の移動や集会に関する規制を出し始めています。
・今年の春節期間中も延べ17億人が移動するという予測が出ています。
・日系企業に於いては、会社全体で大人数が集まる年会(忘年会又は新年会)を見送り、比較的少人数で収まる部門ごとの会合へ切り替える動きが加速しています。
・生産拠点(工場など)に関しては、地元政府(区や鎮など)から直接、個別に年会の開催を中止するように要請を受けているところもあります。
【中国全土の措置について】
・1月20日中国国家衛生健康委員会から通知が出ました。
・春節に帰省で省外へ出る場合、7日以内に発行されたPCR検査の陰性証明書を携帯することが義務付けられました。
【上海市の防疫措置について】
1月13日上海市政府は市の公式WeChatで3月31日までの感染抑制措置(8条防控措施)が公布されました。
主な内容は、以下の通りです。
・帰省及び必要な公務以外では、できる限り上海を離れないこと、また出国しないこと
・上海で春節を過ごし、人員流動率を削減すること
・中高リスク地域から上海へ戻る人員は、所在地が低リスクに変更されてから上海へ戻ること
・空港や駅などでは、上海へ入る旅客に対する体温測定や健康コード確認を厳格化すること
・居民委員会や所属単位又は学校などでは、上海へ戻った居民や社員に対する体温検査や健康コードの確認管理を厳格化すること
各地で類似の通達が発せられています、以下のような事例も見受けられます。
あの手この手で、とにかく人の動きを抑制しようという意図が見受けられます。
・忘年会・新年会の開催は固く禁止する。
・春節の帰省を放棄した人員に、節句補助金を支給するよう企業へ指示(政府が補助)
・子女の入学試験の際に特典を与える
今後の見通しについて
前段でも触れたとおり、本格的な寒さの到来とともに東北部を中心に国内感染事例が急増しており、各地政府は封じ込めに全力を挙げています。春節時の帰省については、完全に禁止することは不可能であり、この動きに伴ってこれまで事例が少なかった東北部以外の地域への拡大はある程度やむを得ないと思われます。
考えられる選択肢として、国内感染の抑制を最優先とし、この間海外からの入国を止めるという政策があり得ます。つまり昨年3月28日の状態(有効な居留許可及び渡航用査証があっても入国できない)へ戻ることも十分あり得ると言うことです。
1月18日国家統計局から発表があり、中国の2020年通年のGDPが対前年比伸び率で2.3%成長であったことが分かりました。第一四半期を▲6.8%でスタートしたことから見れば、急速な回復を遂げたことになります(第四半期だけで見れば6.5%の成長でした)。日系企業に於いても、特に製造業での回復が顕著で、過去最高益を更新という企業も見られます。中国への増員を考えている企業も多く、日本側の収束を含め、人の往来の再開が早く実現することを祈るばかりです。
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