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蚊が媒介する感染症│デング熱・ジカ熱・マラリア・日本脳炎

2019.01.08

蚊が媒介する感染症

シンガポールを含む東南アジア諸国には日本でほとんど見ないような感染症が存在します。その中で特に蚊によって媒介される病気として知っておきたいものにデング熱、ジカ熱、マラリア、日本脳炎があります。

デング熱

デング熱はネッタイシマカによって媒介されるデングウイルスの感染症です。比較的軽症のデング熱とより重症なデング出血熱がありすべての年齢層で発症します。

潜伏期間は3~14日間で、熱、筋肉・関節痛、頭痛、腹痛、眩暈、発疹、出血症状(歯肉出血、鼻出血、血性嘔吐・下痢、大量不正出血など)を認めます。発症2日前から発症後5日間は伝染のリスクがあります。蚊を媒介とした感染のみですのでその間は蚊に刺され感染者を増やさないように特に気を付ける必要があります。12-45歳で以前にデング熱にかかったことのある方にはワクチン投与ができます。投与前に血液検査でかかったことがあるかのチェックが必要です。

ジカ熱

ネッタイシマカにより媒介されるジカウイルスの感染症です。シンガポールでは2016年に集団発生しましたが、2018年の新規発生は1例のみです。ジカウイルスが完全に消えることは考えにくいため引き続き注意が必要です。

潜伏期間は3から12日で、感染しても発症するのは5人中1人と言われています。症状としては微熱、発疹、関節痛、結膜充血、頭痛などで下痢や腹痛をきたすこともあります。デング熱と比較して症状も軽く入院となることは稀ですが、特に注意すべきは妊婦への感染で小頭症児が生まれる場合があります。ワクチンはありません。

マラリア

ハマダラカにより媒介されるマラリア原虫の感染症です。熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、卵形マラリア、四日熱マラリアの4種類があります。種類によって潜伏期間が違いますが短いもので7日程度、長いものでは感染から1年以上たってから症状が出ることがあります。帰国後発症することもある為、受診時にマラリア流行地への渡航歴をお伝えください。発症すると悪寒、震えと共に38度以上の高熱が数日間持続します。このうち熱帯熱マラリアは重症化することもあり下痢、腹痛、呼吸器症状に加え肺水腫や重症貧血を起こし多臓器不全にて死亡することもあります。

クロロキンやメフロキンといった抗マラリア原虫薬を用いますが、最近これらの薬の効かない耐性例が報告され抗生物質の使用や新薬の開発が進んでいます。予防内服は現地到着の1~2週前からの開始が必要です。薬によっては副作用を伴うものもありますので、渡航前に時間的に余裕をもって当院を含めた医療機関で相談してください。

シンガポールでの上記疾患の感染リスクは低いですが、感染した旅行者・労働者による輸入や、流行地域への旅行時にかかる可能性もあり注意を要します。長期間継続する発熱、発疹、全身倦怠感など継続する場合には速やかに医療機関を受診してください。

日本脳炎

主にコガタアカイエカにより媒介される日本脳炎ウイルスの感染症です。潜伏期間は6~16日間で数日間の高熱(38~40度)、頭痛、嘔気、眩暈などで発症し意識障害、麻痺、震えなどの神経症状が引き続いて出現します。発症するのは1,000人に1人程度で、多くの方はかかってもは無症状で治癒します。しかしながら発症した場合には死亡率は20~40%、生存しても45~70%で神経学的な後遺症として麻痺や精神症状が残るといわれています。

治療方法は特になく対症療法を行うしかありません。最も大切なことは予防であり、予防接種が必須となっている日本国内では毎年10人程度の発症ですが世界中では毎年1万人程度の死亡者が出ています。シンガポールでの発生はほとんどありませんがマレーシアやインドネシアでも地域的流行がみられ注意が必要です。

日本製ワクチンに重篤な副作用が出たことから平成17年度から21年度まで一時勧奨を差し控えた時期がありました。その後新しいワクチンが開発され現在は通常通り受けられるようになっています。このため平成7~18年度に生まれた方は予防接種を受けそこなっている場合もありますので一度確認されることをお勧めいたします。

外部リンク:厚生労働省 日本脳炎について

防蚊対策

すべてに共通する最も重要な点は蚊に刺されない事です。

【予防方法】

1:藪の中にいくときには長袖、長ズボン、靴下を着用すること

2:明るい色(白っぽい色)の衣服を着用すること

3:虫除け剤を用いること

4:蚊が多い場所ではしっかりとドアや窓を閉め切ること

5:流行地域には妊婦や幼児は行かない事

6:蚊がいる場合には殺虫剤を使用し確実に駆除すること

7:こまめにシャワーを使い身体を清潔に保つ、飲酒後は蚊が集まりやすいので注意

8:ハマダラカの活動時間は午後5時から午前7時でありこの時間帯の防蚊対策が重要

虫よけ剤としてDEETという成分が30%以上含まれているものが特に有効です。日本でも購入できますが、DEETには副作用がある為長期間の使用や小児への使用には注意が必要です。下記サイトの情報を御参照下さい。

外部リンク:DEETを含有する医薬品及び医薬部外品に関する安全対策について(厚生労働省)

外部リンク:DEET使用ガイドライン(CDC)

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