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狂犬病は「傷口を舐められる」ことでも感染│タイ医療事情

2019.03.07

予防接種の追加接種

タイでも予防接種の継続接種は可能?

「複数回接種が必要なワクチンが日本出国までに間に合わなかった」

お子さんのワクチンスケジュールがまだ途中。という方もいらっしゃるかと思います。ほとんどの予防接種はタイで引き続き接種できます。

タイで追加接種をするために

①接種日:いつ接種したのか

②ワクチン名:どのメーカーのものを接種したのか

③接種方法:皮下注射・筋肉注射・経口等

以上の三点をメモしていくとスムーズに受けられます。

日本の病院・クリニックで予防接種の接種歴リストを作ってもらう、もしくはワクチンについているシールをもらいノートや手帳に貼り付け日付とともに管理しておくと、タイの医療機関でも情報が伝わりやすいです。お子さんであれば母子手帳をお持ちいただければ、ほぼ日本と同じスケジュールで引き続きの接種が可能です。

日本とタイの予防接種の違い

日本とは形態が異なるワクチンもあります。同じワクチンが手に入らないことから、複数回接種が必要なワクチンについては初めから予防接種を打ち直さなければならないこともあります。

日本脳炎については、日本では不活性ワクチンの接種になりますが、タイで接種可能なのは生ワクチンのみです。1回目、2回目を日本で接種していても、タイで継続はできません。改めて生ワクチンを2回接種することになります(3回目まで日本で接種している場合は必要ありません)。

ワクチンのメーカー・接種スケジュール・接種方法を確認しておく

同種のワクチン・接種方法が同じでないと抗体が形成されないことがあります。

継続して接種を予定されている場合は必ず以下の情報を確認してください。

予防接種:HPV(ヒトパピローマ)

確認事項:ワクチンのメーカー

予防接種:ポリオ

確認事項:接種方法(経口接種:生ワクチン、注射:不活性ワクチン)

予防接種:PCV(肺炎球菌)

確認事項:ワクチンの種類(23価、13価等)

予防接種:狂犬病

確認事項:①メーカー、②接種スケジュール、③接種方法(皮下注射・筋肉注射)

狂犬病には特に注意

特に狂犬病については注意が必要です(タイでは毎年狂犬病を発症しての死者が出ています)。

抗体を確実に作るために「①スケジュール通りの接種②同じメーカーのワクチンを接種③接種方法を統一にする(皮下注射か筋肉注射)」のすべてを満たさなければなりません。一つでも当てはまらないものがあれば安全のため1回目からうち直しになります。また予防接種を受けていても動物に噛まれたり、引っ掛かれたりした後には暴露後の注射が必要です。

時期や施設によってはワクチンの手配が難しいこともありますので、事前にお問い合わせいただくことをお勧めします。当院では渡航前からのワクチンスケジュールのご相談も承っております。お気軽にご相談ください。

推奨予防接種とされているメインどころについて

①A型肝炎

ローカルレストラン・屋台の衛生環境は日本に比べるととても悪いです。全ての飲食店ではありませんがA型肝炎に感染するリスクはとても高くなっています。

・生水は飲まない。

・水はボトルに入っているもの、浄水器を通したもの(煮沸するとより良いです)以外は飲まない。

・外食の際は衛生環境をチェックする。

などで自衛しましょう。

氷は業者から購入していることがほとんどですが、心配な場合はどこの水を使ったものかチェックしてください。

②B型肝炎

B型肝炎の感染経路は母体から胎児への感染、血液感染などありますがタイでダントツに多いのが性交渉による感染です。タイではB型肝炎以外にも性感染症のリスクは非常に高いです。感染予防に必ずコンドームを使用してください。ただしコンドームも100%感染を防げるものではありません。パートナーの方・ご自身の検査を行う・不特定多数と性交渉または性交渉に近い行為を行わない、などで予防しましょう。

③狂犬病

野良犬・野良猫が多い、ペットへの狂犬病予防接種が義務ではないタイでは毎年狂犬病による死亡例が出ています。狂"犬"病と呼ばれていますが、犬のみではなく哺乳類全般が発症する危険性を持っています。「噛まれる」だけではなく「ひっかかれる」、「傷口を舐められる」ことでも感染します。犬・猫以外にも猿・リス・コウモリ等の動物に不用意に近づかないこと。噛まれる・ひっかかれる等があった際には傷口を石鹸でよく洗い、速やかに近くの病院・クリニックへご相談ください。

④日本脳炎

タイ中心地での感染報告は稀です。主な発症地域はタイ北部。頻発期は5月から10月です。蚊によって媒介される感染症ですので、蚊対策をしっかりしましょう。日本脳炎だけでなくデング熱・チクングニアなど蚊を媒介とする感染症はタイには多くあります。

ブタやサギなどの動物が保菌していることが多いので、農業・畜産業地域やキャンプやトレッキングなどの野外活動をする場合は感染の確率が高くなります。虫除けスプレー・クリームを使用する、長袖・長ズボンの着用、宿泊する際は蚊帳や網戸蚊取り線香などで蚊を寄せ付けないようにしましょう。

推奨ワクチンには入っていませんが渡航前の予防接種をお勧めするもの

⑤インフルエンザ

日本でもおなじみのインフルエンザですが、タイには明確な流行時期がありません。言い方を変えれば年中感染の危険性があるということです。乾燥を好むインフルエンザですが、雨季真っ只中に流行することもあります。予防接種のオススメ接種時期は4月から5月。毎年3月に新しいワクチンが流通しますので、その年の傾向にあった予防接種を受けることができます。

⑥水疱瘡

空気感染という厄介な感染経路のため日本同様、幼稚園や学校で流行り始めると予防が難しく流行してしまいます。予防接種を受けたのに発症したというケースもありますが、インフルエンザ同様ワクチンを事前に受けることで症状は軽めですみます。周りに感染者が出た場合72時間から120時間以内(3~5日以内)に予防接種を受けると感染を予防もしくは軽度で済むと言われています。

周りに感染者が出るとなかなか感染予防ができないのが実情ですが、できるだけ感染者の疱疹を触らない、使用するタオルや衣類を分ける、飛沫感染を防ぐためマスクの着用、手洗いうがいなどを徹底しましょう。子供の頃に水疱瘡を発症している・予防接種を受けている大人でも50・60歳ごろから帯状疱疹を発症するリスクが高まりますので注意が必要です。

からだの諸症状から、疑わしき病気・感染症の可能性を探る

38度以上の発熱

Q:突然38度以上の発熱を起こし、食欲もない。その後鼻水や鼻づまり、咳などの呼吸器や、腹痛・嘔吐といった消化器にも症状が出ている。

A:インフルエンザの疑いがあります。タイでは流行シーズンと言うものがなく、年中インフルエンザに感染する可能性があります。医療機関にすぐかかれない場合は解熱剤で対処もできますが、デング熱の可能性もある場合はパラセタモール/アセトアミノフェン系の解熱剤を服用ください。

Q:突然38度以上の発熱を起こし、関節痛、頭痛、筋肉痛などもある。発熱から3~4日後に発疹が出た。

A:デング熱の症状に似ています。速やかに医療機関を受診しましょう。タイのデング熱感染者数は年間7万人とも8万人とも言われ、非常にポピュラーな感染症です。飛沫感染等、人から人に直接感染することはありませんが、ワクチンも特効薬もありません。

デング熱に感染すると出血しやすくなるため歯茎から出血したり、吐瀉物に血が混じったりということもあります。血が混じっていないか正確に把握するため、デング熱のおそれがある場合には赤いもの(ビーツ・ラズベリー・トマトジュース等)を食べないこと、また解熱剤はパラセタモール ・アセトアミノフェン系以外は服用しないようにしてください。

デング熱を発症している時にイブプロフェン系、ロキソニン系、アセチルサリチル酸系の解熱剤を服用するとさらに出血傾向を高めてしまう可能性があります。市販の風邪薬の成分としても一般的なものですので、総合風邪薬等を服用されるのであれば成分を一度確認してください。

呼吸器の症状

Q:はじめは鼻水、鼻づまりがあり、そのせいで咳も出ているようだった。アレルギー症状かなと思っていたが、鼻水が緑色/黄色っぽくなり、こめかみからおでこのあたり/目の奥/歯茎のうちのどれかに痛みを感じるようになった。

A:ウイルスや細菌性の風邪、もしくはアレルギーから副鼻腔炎を起こしている可能性があります。歯茎と副鼻腔付近は同じ痛覚を共有していますので、歯が痛い/歯茎が腫れていると感じることがよくあります。抗生剤による治療が必要になりますので近くの医療機関を受診しましょう。副鼻腔炎を防ぐために、鼻水や鼻づまりを伴う風邪を引いたときは悪化する前に鼻うがいがお勧めです。

Q:咳が2週間以上続いていて、黄色/緑色っぽい痰を伴う。朝は熱がないが午後から夕方にかけて微熱が出る日が続き、体がだるい。暑いわけでもないのに最近よく寝汗をかく。食欲も落ちた。

A:風邪の可能性が高いですが、稀に肺結核の可能性もあります。日本人にとっては「昔の感染症」というイメージが強いかもしれませんが、タイでは肺結核はまだ身近に起こりうる感染症の一つです。感染していても発症することはほとんどありませんが、免疫力が落ちている時や高齢になってくると発症しやすくなります。一度発症したことがあるから抗体ができる、ということがなく何度も再発の可能性のある病気です。

進行が緩やかなので、風邪の症状と非常に似ており気付きにくい疾患です。咳が2週間以上続く・朝、起床時に黄色や緑色っぽい粘性の高い痰がでるといった症状があれば近くの医療機関にご相談ください。

日本から持ってきた方が良いもの、日本製の方が良いもの

日焼け対策

肌が白い方が美人とされてるタイでは日焼け対策は女子の必須アイテム。日本よりも熱心かもしれません。日傘や日焼け止めだけでなく、サプリメント、注射等、身体の内側からの美白対策も日本より安価です。日焼けした後に使うアロエジェルや保湿クリームもスーパーや近くの薬局などどこでも買えます。肌が敏感で、合うものを探すのが大変という方は常用しているものをお持ちいただいた方が楽かと思います。日本製のものも手に入りますが、日本メーカーのものは割高です。

衛生用品

シャンプー・コンディショナー・ボディーソープなどは日本より安く買えるものも多くあります。(タイに工場があると同製品が日本より安い。お使いのシャンプーの生産国をチェックしてみてください。)タイハーブを使った高品質のものがたくさんありますので、色々試してみるのも楽しいですよ。

生理用品は日本でもおなじみのメーカーのものもありますので安心です。こちらも日本より安めです。除菌スプレー、ウエットティッシュ・携帯用のサニタイザーなどもコンビニ・薬局・スーパーなどで簡単に入手可能です。ただしタイ語表記のものがほとんどですので「どのくらい除菌できるのか、ただのウエットティッシュなのか・除菌効果があるのか」は判断しづらいです。

粉ミルク・オムツ

残念ながら粉ミルクは日本製のものがありません(日本の会社がタイの工場でタイ国内流通用に作った粉ミルクはあリます)。もちろん粉ミルク自体はタイにもありますが、タイ語表記、もしくは海外からの輸入品で英語表記になります。日本語はほとんど見ません。生活に慣れるまでの間の分だけでも持って行った方がお母さんも楽かもしれません。後で日本から送ってもらうと関税が意外とかかりますので引越し荷物(別送品)か自分で持ってきた方が確実です。

紙おむつは日本でもおなじみのメーカーが売っています。テープタイプ・パンツタイプも選べて可愛いキャラクターもプリントされています。種類も豊富です。ただ、日本のものより肌触りが固めとのお話もちらほら聞きます。紙おむつもお子さんに合うものが見つかるまでの分を、少し持っていくといいかもしれませんね。

虫除け・殺虫剤

虫除けスプレー、蚊取り線香、蟻対策・ゴキブリ対策のなどなど日本のものだけでなく日本より使いやすいものも手に入ります。日本でもおなじみの渦巻き型蚊取り線香もあります。個人的には現地の虫には現地の殺虫剤や駆除餌の方が効くような気がしています(イエヒメアリという蟻をよく見かけていましたが、日本から持ってきた蟻の駆除薬には一切食いつかず、タイで購入したものにしか反応しませんでした)。

衣類用防虫剤は持ってきた方がいいものの一つです。年中暖かいため衣替えはありませんが、少量持ってきておくと安心です。タイのものは匂いがきついのでこれは日本製がオススメです。

花粉症対策

花粉症はあります。特にイネ科の植物は多いです。しかし花粉症はポピュラーではありませんので、日本ほど市販薬、マスクなど花粉症対策グッズの種類がありません。いつも飲んでいる花粉症のお薬や使いやすいマスクがある方は持ってくることをお勧めします。

おわりに

いつも使っているこれはタイで買えるのかなと不安になったら、日本人向けのローカル掲示板に質問を書き込んでみたり、駐在の方・駐在員のご家族の方のブログなどを覗いてみると生の情報が得られてとても参考になります。特に小さなお子さんがいるご家庭は同じような困難を乗り越えてきた方が「こんな時の解決法」を書いてくれていることも多いので参考にしてみてはいかがでしょうか。

シラチャカエデファミリークリニック

私たちは、チョンブリ/シラチャにて2018年に開業した日本人医療通訳常駐の総合診療クリニックです。土曜日も休まず診察しています。ご予約・受付・診察はもちろん、ご帰宅後のアフターフォローまで全て日本人スタッフがご案内いたします。 当クリニックでは、食あたりの診療はもちろん、狂犬病のワクチンの取り扱いもございます。その他のインフルエンザ、B型肝炎、3種混合等のワクチンもご用意できますのでお問い合わせください。

日本とは違った環境で体調を崩されたり、万が一怪我をされた時、大きな病院に行くほどではないけど気になる症状がある場合にも、安心してきていただけるクリニックを目指しております。日本人通訳が常駐しておりますのでタイ語ができなくても問題ありません!日本語でお気軽にご相談ください。


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