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無限責任を負う海外赴任者のメンタルヘルス ~具体的な対策と重要性~

2019.03.16

はじめに

2017年海外赴任している在留邦人の総数は、約135万人であり、アジア諸地域だけでも約39万人の在留邦人が、殆どの国・地域で現在活躍している。そこで今回《メンタルヘルスとリスクマネジメント》という観点から述べてみます。

海外赴任前

多くの企業では社員の海外赴任前にはリスクマネジメントを中心とした様々な研修を実施しています。赴任者は、異文化という荒波を乗り越えグローバルリーダーとして成長を遂げる為に経験値の全くない文化に対応できるスキルと柔軟で強い心身を必要としています。特にコミュニケーションスキルはその最適なものであることは言うまでもありません。

海外赴任後

どれ程、用意周到な研修を受け着任しても予期せぬことや赴任期間中に本人自身に思わぬ変化が生じることが考えられます。赴任中は言語や文化など異なる生活環境におかれ日本国内にいる以上にストレス渦に曝されることになります。まして身近な相談相手もいないとなればメンタル不調(未病)で済むなら安いものと発想を変えざるを得ません。

海外赴任は治安の関係からストレス発散にはもってこいのジョギングが出来ない、天候の関係から外出自体ままならぬ場合など増加するストレスは想定以上であるのにそのコーピング方法はとても限定されてしまうなど結果としてストレス反応が容易に生じやすい条件下であると言えます。

そこで企業としてはより周到な海外赴任者への健康管理対策や支援対策を実施していくことが必要となります。ストレスチェック制度と同様に海外赴任者自身のストレス不調への気づきと職場環境の改善(地元の声を反映した)が不可避となります。日本人の少ない海外では日本以上にセルフケアが大切になり、日本にいるときのように「顔色悪いよ」とか「疲れてないの?」とか気軽に言ってくれる仲間がいれば良いのですが、みんな自分のことで目一杯というのが実情かもしれません。

メンタル不調は高ストレスと似た言葉ですが高ストレスとうつ病とは同義語ではなく、ストレスチェックはあくまで高ストレス評価のためのチェックテストであり、うつ病を評価するためのスクリーニングテストではありません。よって高ストレス者であってもうつ病ではなく、逆に高ストレス者でないのにうつ病である人が存在するのは自明の理であります。うつ病は軽度であれば「何かしら調子が悪い」とか「睡眠障害」のような身体症状から始まり(軽度うつ病)、やがて抑うつ気分、興味や喜びの喪失、意欲低下を示す精神症状(中等度うつ病)になり仕事や日常生活に著しい困難さを示す重度うつ病へと増悪する精神疾患であります。

うつ病の早期発見が難しいのは軽度うつ病は身体症状をベースとして発症しやすいことにも由来しています。早期発見、早期治療の大切さはなにも身体疾患だけでなくメンタル疾患にも当然言えることであります。軽度のうちに発見できれば本国(日本)送還されずに地元の医療機関での投薬治療だけで無事完治させることも可能性は十分あります。

ひとつのメンタルケアツールが海外赴任者を救う可能性

Jiテストは、㈱ジャパンイノベーションと(医)国際心身医学研究所との共同研究で開発された(注1)うつ病の有無、程度(軽度か中等度か重度か)をわずか5分で判断可能な一般外来におけるうつ病スクリーニングお助けツールであり、しかもエビデンスも確立された優れものであります。海外赴任前の選考やメンタル状態の把握にTA性格分析(交流分析)や抑うつ傾向評価尺度 (うつ病になりやすさを%で表示)と一緒に実施すればかなり説得力のある分析が可能となります。

また赴任後も日々のストレスチェックやバイオリズムの判定にメンタルにおけるセルフチェックに大いに役立つと評価されております。このツールは、海外の赴任者向けの医療機関(注2)等でも利用されております。その医療機関においては、臨床心理士などによる遠隔医療相談・カウンセリング(注3)もご利用いただける環境も整えております。

終わりに

企業は労働安全衛生法の制定により社員(従業員)に対し安全配慮義務を負わなければなりません。

これは企業の社員(従業員)に対する上限のない安全配慮義務の実施を促したものであります。事例が生じれば企業の責任はどの程度情状酌量されるかしかなく、つまり無限責任であるとされます(電通事件最高裁判所判決より)。



(注1)「Jiテスト」

☆簡単に使用でき利便性の高いうつ病評価尺度(30問:5分程度)

☆学会での発表を経て、日本心身医学会にて論文投稿*を行い、日本でのエビデンスを確立

*日本心身医学会発行「心身医学」へ原著論文(うつ病評価尺度Jiテストの開発)を上梓(2017年9月1日発行 第57巻 第9号:通巻第458号)

☆Web環境下にて実施が可能であり、結果が即時に確認可能

パソコン、スマーフォン、タブレット端末でのテスト実施が可能

(注2)「医療機関」

(1)インド ひまわりファミリークリニック グルガオン院

(2)インド ひまわりファミリークリニック デリーアバロン院

(3)マレーシア 森のまちクリニック

(4)マレーシア あおいファミリークリニック

(5)マレーシア カモメファミリークリニック

(6)タイ カエデファミリークリニック

(7)メキシコ コスモスファミリークリニック レオン院

(8)メキシコ コスモスファミリークリニック イラプアト院

(9)上海森茂診療所

(10)倉岡クリニック(アトランタ、ダラス)

(注3)「カウンセリング」

臨床心理士、精神保健福祉士およびキャリアコンサルタントがSkypeにより現地と日本をつないで行います。

Interview

海外で活躍する先人達