2019年12月@上海│最近発生している行政処分の件について
2018年夏以降、上海市の一部のエリアで新しく赴任した駐在員が、翌年の更新手続きの時期と前後して、出入境管理局からの呼び出しを受け、行政処分を受けるという事案が散発しております。内容を以下にまとめましたので、今後の上海への赴任者の手続きにおいてはもろもろご留意頂ければ幸いです。
<パターン1:発生した事案>
◆新たに赴任してきた駐在員が、入国後に当局が定める手順に従って手続きを進め、工作許可証及び居留許可証を取得
◆1年後の更新手続きのタイミングで、出入境管理局からの呼び出しを受け、総務担当者を伴って出頭、その場で行政処分を通告される
◆処分の事由は、出入境管理法違反(不法就労)で本人及び雇用している現地法人それぞれが罰金の支払いを命じられた
<パターン1:摘発の理由>
◆当局の指摘によれば、外国人が就労するためには工作許可及び居留許可の両方が必要であり、これが揃うまでは仕事をしてはならない
◆該当する本人が出頭した時点で、1年間の納税資料を示され、これに基づく給与の支払い=就労の実態を指摘される
<パターン1:当面の対策>
◆本件、過去何年にもわたり同じ手順で手続きをする中、同様の指摘をされたことは全くなく、対応の仕様がないというのが実態
◆但し、出入境管理局(=公安局)からの行政処分は本来、個人のパスポートに記録が残るレベルのものであり、できれば回避したい
◆現状以下の2つの方法で処分を回避する策がとられている
A:入国後の給与支払い(それに連動して納税)を1か月遅らせる。
つまり、入国し居留許可が取れた翌月に2か月分の給与を支払う。
B:居留許可が取得できるまでは出張者と言うステータスに留めおく。
日本で給与を支払い、日本側で源泉徴収する。
<パターン2:発生した事案>
◆入国したばかりの新しい赴任者が、居留許可の手続きをしている最中に出入境管理局からの呼び出しを受けた
◆同様に総務担当者を伴って出頭したところ、入国後現在までの行動について質問を受け、やはり不法就労名目での行政処分を通告された
◆罰金の支払い対象は、パターン1と同様(罰金額はどちらのパターンも不法就労者本人が5千元、雇用主の現地法人が2万元)
<パターン2:摘発の理由>
◆こちらのパターンでは、納税関連の資料ではなく、パスポート番号によって検索された移動の記録を突き付けられ、就労の実態を指摘されるというもの
◆弊社のお客様の場合、国内線の飛行機の搭乗記録を示され、どのような目的での移動であったかを問われたもの
◆中国では、外国人が中国国内を移動する場合、航空機への搭乗、高速鉄道への乗車、及びホテルへの宿泊において必ずパスポートが必要になるため、移動履歴は簡単に追える
<パターン2:当面の対策>
◆入国後、居留許可が取得できるまでは車での移動が可能な範囲の引継ぎなどに留める(今のところ、ビルへの入館でパスポートを利用した経歴を追われた実績はない)
◆遠方の引継ぎが必要な場合、Z査証で入国する前に出張レベルで済ませておくか、または居留許可が取れるまで前任者の帰任を遅らせることも検討され始めている
本件に関しては、商工クラブを通じた上海市政府への建議書や企業連合から領事館への陳情書など、いくつかの方法で接触するも現状改善の兆しは見えておりません。また、発生しているのが上海市の一部のエリアと言うこともあり、あまり強く出ると他のエリアへ飛び火する恐れもあり、手を焼いているのが現状です。
現地側では、いわゆる言いがかりに近い内容の話しであり困惑しているものの、行政処分という事態を回避するため、できることはやっておこうという合意が出来つつあります。
本社側の人事部門の皆様に於かれましては、現地側との情報共有を実施して頂き、最新の動向を把握されますようお願いする次第です。
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