インドのコロナウイルス対応・続報
転勤族の妻(略して転妻)がお届けする『現地発』のリアルリポート、今回はインド在住「TKT48」広報部海外メンバーのsayokoが、前回(第31回)に引き続きインドにおけるコロナウイルスの対応に関する続報をお届け致します。(2020/4/15現在)
緊急一時帰国しました
実はこの記事を執筆している現在、日本へ緊急一時帰国しています。
実際に帰国したのは3月下旬ですが、前回記事にて記載した通り、「帯同家族のビザはインドを出国した時点で無効」となるため、私と3歳の息子のビザは現在失効している状態です。
インドは外国からの航空機の往来を世界に先駆けて禁止としたこと、帯同ビザに関する続報が出ていないことなどから、事実上インドへ戻る手段は無い状態と言えます。
現在においてもインド全土で何十にも及ぶ措置が現在に及ぶまで毎日発表され続けています。そのため主な措置と、駐在家庭がどのような選択を迫られたのかをリポートします。
誰も路上に出るな!インド全土にてロックダウン(2020/3/17~)
インドではこの1ヶ月間だけでも、全土だけでなく州や都市によっても、様々な措置が発表されました。
感染者がごく少ない段階の3月17日、ジムやパブなどが閉鎖措置となりました。直後の19日には薬局、スーパー、食料品店以外も閉鎖措置になり、20時からモディ首相の緊急演説が発表されました。
演説自体は、外国からの航空機往来の禁止や、週末の外出禁止要請などであり、肩透かしに感じる部分もありました。しかし、演説中モディ首相は「コーイ(誰も)」「ロードパル(路上に)」「ニカレー(出ないように)」とのフリップを掲げ、頭文字を繋げる「コロナ」となるようにして国民に呼びかけるなど、国民の行動への制限を非常に強く呼びかけました。そして週明け、突然ロックダウンが発表される運びとなりました。
元々インドは世界に先駆けて、外国からの往来に関して厳格な措置を発表していました。その後越州を禁止し、買い物も身近な範囲で済ますよう、厳格に取り締まるために警察官を配置するなど文字通りの封鎖状態となり、日用品の買い出し以外の外出は原則禁止、特に10歳以下と65歳以上は買い出しも禁止の措置となりました。
世界一の強硬姿勢
インドは経済を顧みず、スピーディに、世界一とも言える厳しい措置をとっていると世界的にも評されています。
その他にも下記の様な強硬措置がとられました。
① 航空機の着陸制限
国際線の民間機の着陸を3月22日から1週間許可しないとの発表 → その後26日には4月14日まで延長。
すべての国際線の停止が発表されました。
※ロックダウン延長後は5月3日まで。詳細は後述。
② スーパーの入店制限、体温測定
③ 外出時のマスク着用義務化
④ 鉄道網の完全停止
⑤ 携帯電話の発信履歴やGPS機能から濃厚接触者の特定
⑥ 海外から入国した者の自宅の玄関に、その旨が書かれた用紙を2週間貼り付ける
その他にもニュースなどで、一部の地域の少数の警察官が措置を守らなかった市民に対してスクワットをさせていた場面を目にした方も多いかと思います。
実際にはこのような場面は見かけることはなく、棒を持った警察官が取り締まり、滅多打ちにする場面の方が頻繁に見かけられるようです。少し遠くの店に向かおうとしたら不要不急の外出とみなされて、殴るよう脅しをかけられたり、実際に殴られた使用人がいるとの話を耳にしたことがあります。
上記は一部の例ですが、インドでは取り締まりを厳格に強化させることで人の行き来を最小限にして地区レベルでシャットダウンさせています。
世界で最も早い段階で「世界一強硬」ともいえる措置を次々に打ち出してきたインドですが、貧富の差も激しく、何よりも人口13億人を抱える国としてはやりすぎなければ国民の安全を守る事はできないと捉えています。
我が家が帰国を選んだ理由
インドも徐々に新型コロナウイルスが蔓延し始め、それに伴い様々な会社の間で帰国勧告が聞かれ始めました。会社により様々な対応ではありますが、私が見聞した限りでは以下のようなケースが挙げられます。
① 駐在員・帯同家族ともに帰国命令
② 帯同家族のみに帰国命令
③ 駐在員・帯同家族ともに任意での帰国勧告
④ 帯同家族のみ任意での帰国勧告
⑤ 会社の措置を待たずに自己判断で帯同家族のみ帰国
我が家は⑤を選択しました。その理由としては下記が挙げられます。
・3歳の息子の安全を第一に考慮
・夫の会社から勧告の予定はないと言われ、自身で決断をしなければならなかった
・外出が厳しく制限される中で、通常の病気でも病院へ行くことが困難になってしまう
・インドの隔離病棟は想像を絶するほどの不衛生状態であるため、万が一でも隔離されることは絶対に避けたかった
・続々と飛行機の減便が決定する中で、後日帰国命令が出てもチケットの入手が困難であることが予想された
実は航空機往来禁止の中で日本大使館の多大なる尽力により、インド発日本行の航空機は臨時便が特別に許可され、「帰国が出来ない」等のパニックには陥りませんでした。
我が家は結果的には後日③の措置が出たため、臨時便に搭乗して夫も帰国できましたが、ほんの10日違いの帰国でも夫が出国する頃には更なる非常に厳格な取り締まりが行われていました。そのため、先に息子を連れて帰国した判断は間違っていませんでした。
インドのロックダウンはいつまで続く?(2020/4/14)
当初ロックダウンは4月14日までの予定でしたが、解除当日の午前中にモディ首相の演説があり、5月3日まで延長されることが発表されました。この発表以前から、独自にロックダウンの延長を表明している州も多数あったこと、日に日に感染者が増加し続けていることを鑑みても、想定通りの措置と言えます。
しかしながら、演説以前より毎日のように新たな措置が発表され続ける上に、取り締まりも厳しさを増しています。ついにはグルガオンで日本人が数百世帯単位で入居しているエリアでも各アパートメントにバリケードが張られ、人の移動が一切禁止されることになりました。
日本人からすると、インドの政策は人権無視と捉えられますが、日本とインドの温度差を考えると、現在の私にはどちらが正しいのか判断がつきません。
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