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【第39回】インドにおける新型コロナウイルスによる生活変化

2020.06.04

インドにおける新型コロナウイルスによる生活変化

転勤族の妻(略して転妻)がお届けする『現地発』のリアルリポート、今回はインド在住「TKT48」広報部海外メンバーのsayokoが、前回に引き続きインドにおけるコロナウイルスの対応に関する続報をお届け致します。

ロックダウン延長

前回(第36回)の記事にて、ロックダウンの延長(4月29日解除 → 5月3日解除)が発表されたとお伝えしましたが、さらに5月18日までの再延長が発表されました。

しかも、5月12日に更なる再延長が発表され、ロックダウンの完全解除が全く見えてこないどころか、レッドゾーンと呼ばれる危険地域の追加も噂される状況です。

インドは日本と比較にならないほどの貧富の差、社会保障の貧弱さに加え、思考に関しても宗教に依拠する部分が非常に大きいため、早期での収束はもはや困難であるとの見方も出てきています。

現在においても連日2,000~3,000人単位で感染者は増え続け、感染者総数は8万人、死亡者数は2500人を超えています。世界有数の人口密度であること、貧困層が国民の大多数であり、密集地やスラムでも蔓延していることを考慮すると、更なる感染拡大は避けられそうにありません。

その一方で、解除の見通しが立たないながらもモディ首相は演説内にて、感染者の少ないエリアを中心に経済活動も並行して再開することを発表し、一部の工業関係施設などを中心に既に稼働しています。

メイドのいない生活が耐えられない!

インドではロックダウンに伴い、特定の職種に就く人々や最低限の買い物以外においては原則外出禁止となりました。特に『メイド文化』が盛んなインドにおいて、富裕層の生活に大きな変化が見られているようです。

<初めて感じるメイドのありがたみ>

住み込みではなく通いで雇っている場合は原則として出勤が禁止となったため、今まで全てメイドに任せていた家事などを全て自分たちで行わなければなりません。実は生まれてこのかた、料理や掃除はおろか、お茶の一杯も入れたことがないという富裕層の方もここインドでは男女問わずしばしば耳にします。

今回生まれて初めて自分たちのみで家事をすることになり、この生活に耐えられない、と悲鳴をあげる方や、彼女たちが働いてくれているのは当たり前ではなかった、初めて彼女たちに感謝をしたという方などいらっしゃるようです。

一方で、メイドたちは明日の食事にも困っている

日本人家庭に勤務するメイドの多くは生活に余裕があるわけではないものの、最下層に属する方はほとんどいません。しかしインド人家庭に勤務するメイドは、明日の食事にも困る人々が多々います。

モディ首相は演説内で彼ら労働者の雇用についても言及し、使用人や経営する会社の従業員を解雇したり、給料の未払いなどが起こらないよう要求しました。

しかし現実は、細分化されたロックダウンや外出禁止令により出勤できず、給料を受け取る事が困難で手持ちの現金が底を尽きてしまう方がいたり、休業に対する補償がどの分野においても一切ないため、首相の要求は困難であるとの声も上がっています。

我が家の場合はメイドが銀行口座を持っていたため、オンラインにて給料の支払いが可能でしたが、ロックダウン当初はATMまで外出することがなかなか困難だったようです。しかし実際には、メイドの職に就いている人は銀行口座を持っていない人も多く、早く出勤を再開しなければ、飢えがすぐそこまで迫っているという方も少なくありません。

大きく変わった我が家の暮らし

先の記事にて、私たち家族は既に帰国済みである事をお伝えしました。

また、我が家も様々な事情に振り回され、落ち着いた生活とは程遠い現状です。

① 10日差で帰国した夫と帰国後1か月半以上合流できていない

夫が日本に到着したその日より、日本政府による『全ての帰国者に2週間の待機を要請』が発動となりました。インドは厳格なロックダウンに伴い、外務省制定の海外渡航危険度は依然レベル2のままでしたが(欧州は全域でレベル3)、夫も帰国者ということで2週間のホテル待機となりました。

その後、日本国内における更なる感染拡大、県を跨ぐ移動の非推奨等を鑑みて、日本国内に自宅を持たない私たちは互いの実家に身を寄せ続ける判断を下しました。互いの実家は非常に遠距離である上に夫は飛行機が運行され次第インドへ戻るため、再開の目処は全く立っていません。

② 1年間もエントリーし続けていた欧米系のスクール入学が白紙に

我が家には日本で言うところの年少に当たる息子がいます。

それに伴い、約一年前から欧米系のスクールのエントリー待ちをしていました。ようやく8月入学のアドミッションが回ってきたのですが、今回の件によりスクールの再開、私たちのビザの再有効化共に未定となり、泣く泣く断念しました。

日本で教育施設の完全再開を待つとなると、適正年齢にいつまでも自宅で待機させておくのも悩みどころであるため、日本で途中入園できる幼稚園や認可外のスクール等を探すべきか悩んでいます。

③ どこにいつまで住む?

先述しましたが、私たちは日本国内に自宅がありません。

しかしながら、先が見えない中でいつまでも実家に身を寄せ続けるのは、互いに大きなストレスを抱えてしまいます。

夫の会社では、社宅扱いでマンション等の短期間賃貸契約を許可されていますが、私の実家に近いところに居を構えるか、都内近郊か、夫と合流するか否かも含めて話し合いを繰り返しましたが、いかんせん先が全く見えない中での新しい生活を始めることになるため、GWを挟んだこともあり、現段階では結論を出すことができませんでした。

長期間日本で生活することを踏まえると、息子の幼稚園等も考慮する必要があること、トランクルームに預けてある荷物を引き出すこと、再度インドへ渡航する際には私1人で引っ越し手続きをしなければならないことなど、私の一存では即決できませんでした。

インド行きの飛行機の再開も再度延期になるなど、私たちも「いつもの生活」に戻るのは当分先になりそうです。

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