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【第42回】インドの感染拡大止まらず・アジア一の感染者数に

2020.06.30

インドの感染拡大止まらず・アジア一の感染者数に

転勤族の妻(略して転妻)がお届けする『現地発』のリアルリポート、今回はインド在住「TKT48」広報部海外メンバーのsayokoが、前回に引き続きインドにおけるコロナウイルスの対応に関する続報をお届け致します。

アジア一の感染者数に

5月半ば頃より、感染者の増加数が1日あたり3~4000人だったものが、現在では1万人単位で増加し始めました。

現在の感染者総数は32万922人、死亡者数は9,195人にまで上ります。(6月14日現在)

単純計算して総人口数が日本の10倍以上であることを鑑みても、異常事態であると思わざるを得ません。

なぜインドで感染拡大したのか?

2月までの感染者は武漢に留学していた3名のみでしたが、3月上旬になると人気観光地・ジャイプールにてイタリア人観光客の感染が確認されて以降爆発的に増加し、現在に至るまで終息の気配が全く見えていません。

しかしインドは先の記事でも挙げた通り、早い段階での世界有数ともいえる強硬措置を取り続けており、ビザ発給停止による事実上の外国人の入国禁止、細かな地区単位でのロックダウン、臨時便以外での航空機の来航禁止など行ってきました。それにも関わらず感染拡大にはもはや歯止めが効かない状態です。

ここまでの感染拡大となった理由は大きく分けて【衛生概念】【貧富の差(カースト)】が挙げられます。

① 衛生概念

前回までの記事においても度々触れていますが、インドの衛生概念は日本人からすると信じられないことも多いのが実情です。

家庭内における衛生概念もそうですが、現代においても道端で用を足す男性、所構わず唾を吐き捨てる人の数が多いこと、土足と裸足に境界が曖昧であること、タバコやゴミのポイ捨ても枚挙にいとまがなく、インドで最も発展している都市の1つである私の住むグルガオンでも、お世辞にも美しいとは言えない外観です。

そのため、現在においてまで「清潔に保つ」という概念に乏しい方が非常に多く感じます。

② 貧富の差(カースト)

カーストが抱えるものは、インドにおける問題の全てに直結していると推察しても過言ではないかもしれません。

低カースト、もしくはアウトカーストに属する人々は、過酷な肉体労働、清掃業、メイドの職につく人が大半です。時に路上で物売りや、物乞いをする人々も珍しくありません。また自宅も、非常に手狭で簡素な造りで衛生的では無い環境に構えていたり、スラムと呼ばれるバラック小屋を建て、ほぼ路上で生活をしている様な状態も多数見受けられます。

このような環境であるため洗面設備等は一切無く、衛生的な状態とは程遠い環境であり、スラムの様な密集地は1人感染者が出ると途端に感染爆発が起きる危険性を大いに孕んでいます。

実際にインドで最も感染者の多いマハラシュトラ州のムンバイという都市では、アジア最大規模のスラムで感染大爆発が起きています。ただでもムンバイはインドの中で最も物価が高く、貧富の差が激しい地域と言われています。

また、インドは通話料金や通信費用の安価さから低所得層の人々でもスマートフォンの所持率が高いのですが、スラムに在住する人々の中にはスマートフォンを持てない人も多く、コロナウイルスに関する情報を適切に得ることができず、感染爆発の機会を作ってしまった見方もできます。

帯同家族は諦めムード

毎日1万人単位で増加し続ける感染者を目の当たりにし、日本人駐在家庭も様々な選択を迫られています。

① 4月の異動でインドへ来る予定だった駐在員と帯同家族

現時点においてもビザが発給されていない方が多く、駐在員本人は日本国内にて業務に従事しているそうです。

更に大きな問題として挙げられるのが、帯同家族の子どもです。特に学生の場合は、既に海外転出届を出して転校・転籍扱いとなっているケースも多く、日本の学校に進学や進級することができず宙ぶらりんとなったという話も少なくありませんでした。

② 4月で帰任予定だった駐在員

規定通り帰国された方もいらっしゃいますが、上記理由により後任の方がインドへ来ることが出来ず、そのままインド支店に在籍し続けるケースもあります。

入国制限が厳格になる寸前に、本帰国を見据えて日本へ自宅の賃貸契約のために一時帰国したら、そのままインドへ帰る手段を失ってしまい、インドで長年共に働いた同僚へ最後のお別れもできないまま本帰国となってしまった方もいらっしゃいます。

③ このまま本帰国とした帯同家族

インドにおいて感染拡大が深刻化したことに伴い、定期的に運航される臨時便を利用して日本へ一時帰国した方も多くいらっしゃいます。その中では、感染拡大により本帰国となってしまった方、母子のみの本帰国を決断したケースもあります。

我が家もまだ本帰国をしたわけではなく、夫もインドにおける仕事を日本から毎日非常に忙しくこなしていますが、日本発の航空機の運航再開は幾度目かの延期となり、駐在員でさえインド入国の目処が全くたっていません。

退避帰国した日本人の中でも、インドに残留している人々の中でも、年内に往来することは最早無理だろうと諦めムードとなっています。

インドと日本、究極のリモートワーク?

日本でも今回を契機にリモートワークが増加しましたが、「インドの仕事を日本でこなす」夫も、当然ながらインド側とは全てリモートで進行しています。

現在では通話アプリの発達により、電波環境さえ整えば、通信費用のみでインド側とも気軽にやり取りが可能であり、インドにいる時同様に非常に忙しく過ごしています。

しかしインドの電波事情があまり良くないため、インドの自宅で作業している現地スタッフとの会議中に電波が切断されたりすることも頻発しているようです。しかし、今後インドのインフラが更に強化され、各国と問題なくリモートでやり取りが可能となると、「駐在員」が大幅に減少し、また新たな働き方が出てくるかもしれません。

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