海外人事のためのウェブメディア「海外赴任LAB」

OUTBOUND RELOCATION
<dt>OUTBOUND RELOCATION</dt>

各国トレンド 日本 海外医療 海外赴任 鷲尾 美香

COVID19が与える国際医療搬送への影響

2020.09.17

COVID19が与える国際医療搬送への影響

新型コロナウィルス(COVID19)の感染が世界に広がり、急速に進んできていたグローバル化がやや足止め状態になっていました。そして最近になり、やっと手探りながらも動きだしてきているように思います。

そのようなコロナ渦においても、国際医療搬送を必要とされている方は存在します。国と国の間で行われる医療者付き添いによる患者様の移送である国際医療搬送も、COVID19の影響を受けたことは言うまでもありません。

当クリニックは、この状況の中で国際医療搬送を行っております。通常よりも多くの作業などが入りますが、皆様無事に帰国し、母国で治療を受けることができております。この状況下で行っている国際医療搬送を行う中、いくつかの困難した点をまとめました。

【COVID19の影響による困難】

1) SARS-CoV2 PCR検査の必要性

2) 旅客機の便のキャンセルや変更、便数の減少

3) プライベートジェット機(エア・アンビュランス)の利用の制限

4) 入国制限と入国時の14日間の指定場所待機(自宅待機を含む)

5) 海外現地での空港までの交通手段の制限

6) 受け入れ先病院の感染症問題

1) SARS-CoV2 PCR検査の必要性

SARS-CoV2 PCR検査が、渡航において必要になってきております。

日本では、今でこそ簡単に自費で受けることが出来るようになりましたが、今年、2020年の初めは、なかなか検査を受けることが難しい状況でした。いくつかの国は早々にPCR検査を取り入れており、私も初めてのSARS-CoV2 PCR検査はモンゴルへ入国した時でした。この経験からPCR検査の必要性を感じ、クリニックとしてPCR検査の開始を早々に行いました。これにより、医療搬送のためのビザ申請などスムーズにできるようになりました。

2) 旅客機の便のキャンセルや変更、便数の減少

国際医療搬送において、コマーシャルフライト(皆様が搭乗するような一般の旅客機)を使用、もしくは、エア・アンビュランス(プライベートジェット機)の大きく分けて2つの選択肢があります。両者ともに一時入国制限で使用できないというような国もありましたが、入国できたとしてもコマーシャルフライトの大幅な減便で、帰国に時間がかかったケースもありました。最近は、ビジネス渡航が可能になり、以前よりも入国しやすくなってきています。

3) プライベートジェット機(エア・アンビュランス)の利用の制限

エア・アンビュランスは、患者様の状態やその国の状況により使用します。かなりの高額になりますが、旅客機内で同乗する一般搭乗者様に気を遣う必要がなく、付き添う医療者側にとっては安心して使用できます。何かあればすぐに対応でき、必要に応じて着陸できるという安心感があります。

通常であれば、移送の相談をすると、どこのエア・アンビュランス会社も2つ返事で「YES, we do.」なのですが、COVID19の影響で、国際医療搬送を行うところと行わないところがでてきました。また、コロナ渦で移送を行うエア・アンビュランス会社の中でも、COVID19感染者の移送を行うところ、行わないところとあります。現在、通常に戻りつつありますが、今後も同じような状況に戻る可能性は否定できません。当クリニックでも、COVID19感染者様の移送を想定し、早期からエア・アンビュランス会社とコンタクトをとり、移送可能な状況を維持してきました。

4)入国制限と入国時の14日間の指定場所待機(自宅待機を含む)

現在、海外では14日間待機が軽減もしくはなくなっているところもありますが、まだまだこの14日間待機があるところもあります。私どもは、現時点において、海外の医療チームと一緒に行うなどで、この待機の対象になるようなことなく、医療搬送を行えております。

5)海外現地での空港までの交通手段の制限

まだ、日本において入国時の14日間待機がなかったころ、中国では早々にCOVID19の感染対策をされていたのは、皆様のご記憶に残っているかと思います。その時期での中国の医療搬送において、急遽予定していた空港がCOVID19感染対策のため使用できず、直前で空港を変更しないといけないケースがありました。コロナ渦では、救急車での陸路の通行規制や空港の使用中止など、様々なことがありました。国際医療搬送において、通常でも移送中に様々なことが起こることは多いのですが、その都度、臨機応変に対応する必要があります。

6)受け入れ病院の感染症問題

感染症については、当クリニックでは国際医療搬送を行う上で、COVID19に関係なく常に気を付けているところです。

COVID19の感染はもちろんですが、他の様々な感染症が存在しています。移送において、海外からの持ち込み感染症には最善の注意を払い、また受け入れ先病院にも、最初は個室での対応を推奨しています。もちろん、患者様にもその旨を伝え、個室での入院に了承して頂いております。COVID19渦では、受け入れ医療機関は今まで以上に感染症に敏感になっており、受け入れに難色を示すところも実際には存在します。我々も安心して医療機関様に患者様をお願いできるように、医療機関として間に入り調整しています。

国際医療搬送も、COVID19の影響を受けておりますが、このような状況下でも、仕事や勉学など様々な理由で母国以外に滞在している方はいらっしゃいます。そして、国際医療搬送を必要とされている患者様もいらっしゃいます。当クリニックは、海外からの日本帰国し治療を継続して頂けるように、患者様お一人おひとりに、寄り添いながら移送を行っております。

Related Articles

合わせて読みたい

Interview

海外で活躍する先人達