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海外赴任の間、日本に残る親の介護

2018.08.26

海外赴任の間、日本に残る親の介護を考える

 海外赴任にあたっては、様々な不安を抱えて渡航する人が多く、中でも高齢の親御さんを残していくケースでは、その心配と不安はさぞ大きいことでしょう。今まで一緒に暮らしていた場合でも、離れて暮らしていた場合でも、国内と海外とでは、勝手がずいぶん違います。国内と海外では、時差があり国際電話もかけづらく、急な場合にすぐに帰国できないなど、その対応が難しい点が多々発生してきます。ここでは、親御さんを日本に残していくときに、どういう点に気を付ければいいのか、その不安を軽減するためにはどうすればいいのか等、その方法を考えます。

ご両親が健在、またはお一人でお元気

 この場合、重要なのはお互いの状況を共有するため、直接のコミュニケーションを絶やさないようにする事です。お互いの様子を定期的に確認し、親子のコミュニケーションの時間を取る事自体が生活を楽しく維持してもらえる大きな要素となります。国際電話をかけるのにも日本と海外では時差もあるため限度があり、Skype などを使いこなせないと、情報共有をすること自体が難しいところです。しかし最近では、高齢者が比較的、抵抗感も少なく利用できるコミュニケーションツールも増えてきているので以下に紹介します。 是非、この機会に活用を考えてみてはいかがでしょうか。

コミュニケーションツール

  • フェイスブックなどのSNS

  • 家庭内情報共有アプリ

  • デジタルフォトフレーム

 インターネットやスマートフォンにある程度慣れている方であれば気軽に画像の共有ができるSNSやアプリを通じたコミュニケーションが喜ばれます。写真共有アプリを使って家族の写真を共有している家族も多いです。デジタルフォトフレームは親御さんに負担のかからない分、お手軽です。また、直接のコミュニケーション以外にも、定期プレゼントサービスなどを使い、それをきっかけにお礼のメールや電話が来るようにしている方もいます。自ら情報発信して、きっかけをつくることで、日本にいる親御さんの様子も教えてもらう関係をつくっていくことがとても大切です。

ご両親がお一人暮らしをしていて、不安のある方

 不安をどのように取り除いておくかが最も重要な点となります。そのためには、遠く離れた海外にいるからこその不便の解消と不足の事態に対しての万全の備えをしておくことが必要です。それぞれの家族の現在の状況に合わせた準備をしておきましょう。

介護が必要になることに備える

 ある日突然、ケガや発作、あるいは事故で入院ということは誰にでも起こりえることです。その際に、入院までなら、なんとか一人でもできる場合もありますが、本当に大変なのは退院してからというケースが多く見受けられます。退院後の生活の世話を遠く離れた海外から手配するのは、かなり難易度が高いことを知っておきましょう。いざという時のために適切な介護サービスを受けられるように相談窓口がどこにあるかを把握しておくことをお勧めします。

 公的な「介護保険」については、かなり複雑な仕組みでもあるため、海外赴任直前に全ての内容を理解するのは、なかなか難しいことです。ただし相談窓口の多くの場合に一本化されているため、基本的には各市町村の窓口に「介護の事前相談をしたい」と言えば相談窓口の紹介を受けられます。また、「地域包括支援センター」と呼ばれる施設が実際の介護が必要になったときの拠点となります。「地域包括支援センター」は中学校くらいのエリア毎に、各自治体に設置されているので、自分の親御さんがどこの「地域包括支援センター」に所属するのかを事前に知っておきましょう。もし可能なら、一度「地域包括支援センター」へ訪問して家族の状況を伝えておくと安心です。 また、スタッフの方と面識を持っておけば、離れていても、いざというときにお願いしやすくなるでしょう。

突然の事故で倒れることに備える

 親御さんが「突然の事故で倒れてしまう」、ということ自体は、そうそう多くあることではありません。ただ、離れて暮らす場合には、突然の事故がもっとも心配なケースといえるかもしれません。このケースに対する備えとしては、比較的費用が高額になってしまうが、警備会社が行っている駆け付けサービスが一番手厚いサービスです。 ただし、機械を自宅に入れることになるため、親御さんご本人が抵抗感を示されるケースもあることに留意しましょう。特にこれまで発作を起こしたことがない方の場合には、なかなか理解を得られないことも多いようです。

 そのほかにセンサーでの見守り器具などを使う手もあります。ただし、センサーのみではいざという時の駆け付けサービスが含まれていない場合が多いです。このサービスで、目的が達成できるかどうかという視点にたってサービスの選択を行うことが必要です。また、センサーの場合は必ずしも倒れる瞬間を感知できるものではなく、動きが止まってから数時間後にアラームが動作する場合もあるので、サービス内容の詳細に注意しましょう。 押しブザー式は、実際に発作が起きた場合には、自分でブザーを押すのが難しいケースもあります。そのため、そのサービスがどのようなシチュエーションまで対応するサービスなのかは、サービス選択の際に、ある程度の割り切りも必要になります。

認知症を理解する

 そもそも認知症とは、脳の病気によって、脳の機能が永続的に損なわれてしまう病気だということを理解する必要があります。早期発見することによって治療可能な認知症もあり、現在もっとも多いアルツハイマー型認知症についても、薬によって進行を遅らせることが可能となっています。したがって、早期発見をして早く病院に行くことが、認知症に対応するために最も重要となります。

 しかし、たまに会う時などは親御さんも気を張っているので気づかないケースも多くあり、発見が難しい場合もあります。だからこそ、会う時に客観的に観察することが重要となります。部屋が汚れている、いつも同じ服を着ている、などは要注意です。また電話越しでも、ちょっとした矛盾などが会話にあった時などは疑いがあります。また、ご本人が認知症の検査のために病院に行くことに抵抗するケースが多いため、気になる時には近所のかかりつけ医に相談することをお勧めします。

最後に

 いろいろと注意すべきこと、事前に準備するべきことを列挙してきましたが、何よりもご本人に前向きに、元気に生活していただくことが一番大事となります。多少のリスクを気にして閉じこもるよりも、自分に自信をもって積極的に外に出て社会活動を続けることが一番の長生きにつながります。ペットやぬいぐるみをプレゼントして、いきがいや寂しさの解消をしてもらう、趣味のサークルなどに改めて入ってもらうようお願いすることが効果的な場合もあります。

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