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危機管理 日本 海外医療 海外赴任 篠塚 規

-医師が明かす- 海外医療事情

2018.08.27

海外医療事情│注意すべきポイント

2017年版世界医療施設リスト(Medical Directory by IAMAT) の前書きに、優秀な医師と称賛されている病院のリストであると記載されている。JAPANのページを見るとごく数件の病院が記載されている。このリストを信じる外国人は東京都内に国立大学病院が2件、私立大学病院が10件、その他都立病院、日赤病院、聖路加病院などの病院があっても、それを知らずに病院にかかることになる。この逆バージョンが、海外で日本語の通じる病院のリストということになり、決してレベルの高い病院が掲載されたリストではない。では、どうやって適切な海外勤務先の医療情報を得たらよいのだろうか。

注意すべき基本事項とその解説

医療機関ポイント

【注意すべき基本事項】

1. 全体を知って、ローカルな情報を得る

2. 先進国ではシステムを理解しておく

3. 中国も含め途上国では個々の病院やクリニックの情報を得ておく

4. 日常医療と緊急医療は分けて対策をとる

5.「日本語の通じる」から「英語の通じる」に選択肢を広げておく


全体を知りローカル情報を取得

まず、その国の医療システムと医療文化の全体像を知った上で、自分の住む地域の病院やクリニックあるいは医師の情報を得ておこう。この全体像を理解する手段は後述する。

先進国ではシステムを理解

米国、西ヨーロッパ諸国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでは、その国の医療システムを理解しておくだけで十分である。東京に例えれば、12の大学病院や大病院が30 以上あり、個人クリニックがフリーアクセスであること、そして"119 番" で救急車が重症時に無料で病院に運んでくれることを理解しておけば、赴任してから近くの大病院やかかりつけ医を探せばいいだけだ。

途上国では個々の病院の情報を取得

前述の先進国の原則は、中国を含めた途上国では通用しない。一般的に途上国の大学病院や公的病院はレベルは高いが現地の人にしか対応しておらず、外国人がかかるには不適切なことが多い。従って、外国人に対応している病院やクリニックの個々の情報を事前に得ておく必要がある。「日本語の通じる病院リスト」だけでなく「英語の通じる病院リスト」を入手しておくことをお勧めする。

日常医療と緊急医療を分けて対策

日常医療(風邪、下痢、腹痛、高血圧、糖尿病など)では極論すればどんな病院や医師でも大差はない。風邪や下痢は自然に治るし、腹痛もエコーやCT が発展し、誤診すること自体が難しい時代だ。しかし、脳卒中、心筋梗塞、重症疾病では、"一刻も早くレベルの高い病院に行くこと" が大切なのは言うまでもない。日頃から万が一のための準備はしておこう。

「日本語の通じる」から「英語の通じる」へ

世界に広く展開している企業の方々にとって「日本語の通じる病院リスト」は、少数でアクセスも極めて限られる。考え方や出発点を間違えると、救急医療においては天と地ほどの差が生じることもある。赴任先の人脈を通じ、日本語にこだわらずに英語の通じる(そのほとんどはハイレベル)医療施設の情報を得ておこう。そうすることで質の高い病院の選択肢が大幅に広がってくる。

海外医療情報の入手

個々の国の医療の全体像を把握しておくことは大切である。出発前に広く詳細な知識を持った医師よりレクチャーを受けておくと良いだろう。日本旅行医学会の認定医は、必ず毎年、先進国1カ国、途上国1カ国の詳細かつ全体的な医療のレクチャーを4月の大会で受けている。その認定医リストも公開されているので参考にしたい。企業の人事の方々もこの大会に参加し、日頃から各国の医療の全体像を把握し、現地の一流病院との人脈を築いておくことを是非お勧めする。

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