国際医療搬送とは?
皆様こんにちは。「国際医療搬送」という言葉は聞いたことがありますでしょうか?近年、お仕事、勉強、ボランティアや旅行など様々な目的で、海外に出かけられる方は増加傾向であり、今後も更に増えていくかと思います。そのような方々の中には、予期せず海外でケガや病気などになり、クリニックや病院を受診する方もおります。そして、現地の病院に入院し、治療を受けられる方も少なくはありません。このような現地で入院治療している患者様に、医療者が随行して自国である日本の病院に搬送を行うことがあり、これがいわゆる国際医療搬送です。また同様に、訪日外国人の方が、日本国内で同じような状態になった場合もあります。
海外で病気やケガで入院治療が必要となったら?では、海外でケガや病気になり、現地で手術や入院治療が必要となった場合、どうしたらいいでしょうか?基本的には、現地の医療機関で治療を済ませて、日本に帰ってくるという事が大原則ではあります。しかし様々な理由で、治療途中であっても日本に帰国し治療を行うという選択肢をとる方が良い場合があります。大きな要因としては、次に述べるようなことです。
- ①現地医療レベルの問題
- ②言語などの違いにより十分な医療を受ける事が困難(例:リハビリの指示に従う必要や言語などが必要)
- ③⾧期療養になる場合
- ④医療費支払いなどの経済的問題
- ⑤ビザなどの法的な問題
- ⑥その他(患者様の強い帰国意思、付き添い家族の精神的身体的負担など)
このような理由から、患者様やご家族の方の同意のもと、治療の途中(⾧期療養を含む)でも医療者が同伴し日本に帰国し、治療を受けるケースがあります。海外で入院治療となった場合、現地で治療を受ける方が良いのか、日本に帰国して治療を受けた方が良いのか検討することをお勧めします。現地の医師と相談しつつ、駐在員様なら産業医やそうでなければかかりつけ医などの日本の医師の意見も併せて、どこで治療を受けていくかを考えてみて下さい。
国際医療搬送ってどんな感じ?
国際医療搬送は、まず海外の入院している病院から、救急車で現地空港まで移動します。そして飛行機に乗り、日本の空港に到着し、再度救急車に乗り、到着した空港から転院先の病院へ行き入院手続きを行います。また、場所や地域により、トランジットがあったり、新幹線を利用したりすることもあります。このような感じで、搬送は進んでいきます。では、どのような飛行機に乗るでしょうか?患者様の乗る飛行機は、大きく分けて2つあります。
一つは、プライベートジェットです。いわゆるエア・アンビュランスと呼ばれる飛行機の救急車です。これは、患者様とエスコートする医療者だけが乗り、まさに患者様のためだけのフライトです。プライベートジェットは、医療搬送を行う会社が持っていたり、エア・アンビュランスを持っている会社に飛行機の依頼をしたりします。
もう一つとしては、コマーシャルフライトに搭乗するという方法です。コマーシャルフライトというのは、通常皆様が旅行や出張などで乗る〇〇航空会社などのフライトです。これは、患者様や随行する医療者以外に、一般の旅行者様なども一緒に飛行機に搭乗しています。医療の必要な方がコマーシャルフライトに乗るには、まずその航空会社からの許可が必要です。疾患の発症時期や状態によっては、飛行機には乗れません。そのため、その患者様が搭乗可能かどうかの判断を航空会社が行うために、それぞれの航空会社は専用の診断書があり、その用紙に医師が記入し、航空会社に提出します。そして、搭乗に問題がなければ航空会社から許可が降り、飛行機に乗ることができます。
次に、飛行機の座席についてですが、エコノミークラスの座席を6~10席程を使用しベッド(ストレッチャーと呼ばれるものです)を用意してもらったり、ビジネスクラスを利用したりと、患者様の状態に合わせて席を選択します。搭乗許可が出ると、その航空会社のプライオリティ担当者と相談をしながら、座席や搭乗する方法を決め、機内で使用する酸素ボンベなど必要であれば航空会社にお願いをします。飛行機に搭乗する方法としては、通常通りに搭乗ゲートから車椅子などを使用する場合と、救急車を飛行機に横付けして機内に乗る場合とあります。救急車が飛行機の横までくる場合は、空港の許可も必要となってきます。
このように、いくつも準備を重ねつつ進んでいきます。患者様の状態を考えつつ、安全に体に負担をかけないようなルートや方法を選択しつつ、搬送経路を決定し、進めていきます。入院中の患者様ですので、事前の情報と状態が急変することもあります。そのようなことも想定しながら準備し、国際医療搬送を行っています。この国際医療搬送を行っていると、困ったことも見えてきます。一つに海外からの医療搬送におけるトラブルもしばしばあります。日本の事を良く知らない者が、医療搬送を行うと麻薬など事前に申請がいるものを申請せずにそのまま持ち込み、最終的に患者様が密輸したと言われてしまったケースや、院内感染症に注意を払わないケースなど様々あります。ひどい場合には、日本の転院先病院が決まらないまま搬送され、空港で救急車を呼ぶケースなどあります。国際医療搬送は、法的な問題、日本の医療、受け入れ病院への配慮なども考える必要があります。
ワンポイントアドバイス│持病と向き合う
もう一つ付け加えると、海外に出られる方の健康管理・体調管理の重要性です。血圧や糖尿病などの持病がある方が、その管理をきっちりしていれば、海外で入院治療にはならなかったのに...というケースも少なくありません。持病がなくとも、海外でのアルコール多飲や不摂生などしなければ、入院になることは無かったのにというケースもあります。また、仕事や勉強のために⾧期に海外滞在される場合、生活や仕事の環境・人間環境など大きく変わってしまうため、メンタル的な問題が生じる方もいます。海外に出る場合は、日本国内でいる時以上に体調管理は大切ですので、ご自身の体と心には十分気を使って頂きたいと思います。

当クリニック│インターナショナルヘルスケアクリニックは、国際医療搬送を行っている医師・看護師が集まり開院したクリニックです。
国際医療搬送を通じて海外の医療事情を知っておりますので、何かお困りのことがありましたら、お気兼ねなくご連絡を頂ければと思います。
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