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ベトナム医療事情│渡航前にして頂きたいこと〜渡航後に注意して頂きたいこと

2018.10.10

はじめに 〜邦人数の増加が顕著なベトナム〜

 ベトナムは、南北に1,650キロメートルと細長く、北部中部南部に分けられます。主要都市は、北部は首都ハノイ、中部はダナン、南部はホーチミンであり、その3都市に、日本人が多く駐在しています。

 外務省が発行している平成30年版海外在留邦人人数調査統計では、日本国外に在留する邦人の総数は、135万人強と、過去最多となりました。ベトナムは、国地域別在留邦人数において16位ではありますが、前年よりの人数の増加率では、上位20カ国の中で最も上位となっており、近年邦人数が特に増加しています。また、ベトナム政府観光局によると2017年の邦人訪問者数は80万人弱とこちらも過去最多を記録しました。

ベトナムの医療環境、医療施設

 ベトナムの医療環境・水準は、残念ながら日本や近隣のタイ、シンガポールなどと比べて劣ります。公立病院は、ベトナム全土にありますが、医療環境・水準は決して良好とはいえない状況であること、英語が通じる場合もありますが、ベトナム語で基本対応されるという言語の問題もあることから、外国人は基本的に利用することはありません。

 先にあげた主要都市には、インターナショナル水準の日系クリニックや私立の医療施設が複数存在するため、外国人は、病気や検診時にそのような医療施設を利用することとなります。日系クリニック以外にも、インターナショナル水準の医療施設には、日本人医師がいる施設もあり、日本人医療従事者がいない施設でも、日本語通訳の方が常駐している施設が多いのが現状です。

当院の受診状況からみる疾病構造

疾患構造

 当院を受診される患者さんの疾患構造を紹介します。検診などの患者さんを除いた一般外来では、小児のお子様も含め風邪などの上気道炎や胃腸炎が半数近くを占め、メンタルヘルス疾患や、皮膚科、神経内科、整形外科、泌尿器科、循環器科、内視鏡検査、婦人科疾患などがあとに続く形となります(上記図を参照)。

 当院では心理カウンセラーによるカウンセリングを行っている影響もありメンタルヘルス疾患を抱えた方の受診が多くなっています。 尚、外務省が公表している海外邦人援護統計によると2016年度にメンタルヘルスに問題を抱えた海外在住邦人は前年度と比べて15%増加し、海外赴任者の死亡原因で自殺は、疾病について第2位となっており、メンタルヘルスに対するケアは、今後ますます海外赴任者には必須といえます。

ベトナムの救急救命体制

 日本のように、救急救命体制は整っていません。救急車サービスは、公立病院と私立病院それぞれありますが、どちらも有料です。救急車内のサービス内容も、私立病院と公立病院では格差があります。ベトナムでは、都市部では慢性的な交通渋滞問題が存在しており、救急車を利用したとしても、医療施設に迅速に到着できない場合もあります。日系クリニックは、日曜祭日は基本的に休診となり、平日土日も日中のみの診療となるため、その時間帯以外には、主に24時間対応の医療施設を利用することとなります。主要都市では、インターナショナル水準の医療施設が24時間対応をしています。ただし、日曜祭日夜間は、日本語通訳が不在なることもあります。

ベトナム渡航前に

 渡航前にして頂きたいことは、予防接種、海外医療保険加入、ベトナム国内で使用予定の薬剤の確認です。まず予防接種ですが、ベトナムに来られる方で、必要とされる予防接種はA型肝炎、B型肝炎、狂犬病、破傷風、日本脳炎などが挙げられます。これらのワクチンは、複数回接種することで効果を発揮することになりますが、渡航までの日数が十分ある方は、日本で接種されてくることをお勧めします。渡航後にベトナム国内で、初回からあるいは日本で開始したワクチンの続きとしての2回目・3回目のワクチン接種も可能ですが、使用されるワクチンは、日本のものとは異なりますのでご注意ください。

 次に海外医療保険ですが、強く加入をお勧めします。日系クリニックやインターナショナル水準の医療施設を受診する場合は、それぞれの施設で診療内容に応じた金額を設定していることもあり、風邪などであっても日本で受診した場合と比べて高額な費用がかかることが多いです。そのため医療施設を受診した場合は、まずは有効な海外保険を所有しているかどうかを調べる施設が多くなっており、有効な海外保険を所有していない場合は、受診を断られるケースもあります。最近ではベトナム国内の医療水準の上昇に伴い、国内の病院で手術など治療完結できるケースが増えてきていますが、ベトナムでは治療困難とのことで、海外搬送されるケースは散見されます。海外搬送されるケースでは、請求費用が1,000万円を超えることもありますので、保険加入される場合にはその保証内容に関しても注意が必要です。赴任場所や赴任期間、仕事内容などを考慮して、ご自身やご家族にあった適切な海外保険を選び加入してください。

 最後にベトナムで使用予定の日本からの持参薬剤についてですが、ベトナムでは手に入らないことはよくあります。あらかじめベトナム滞在中は、薬剤が足りるように主治医の先生と相談して多めに出してもらうか、あらかじめ日系のクリニックなどに、渡航前にメールで服用している薬剤の取り揃えがあるかどうかを相談することをお勧めします。尚、海外医療保険は、基本的に日本からの持病に関しては対象外となっています。加入される医療保険の種類によっては、特約をつけることで対象とされることもありますので、ご留意ください。

ベトナム渡航後に注意すること

 ベトナム特有の病気はありませんが、<君子危うきに近寄らず>、という諺があるように自分自身で意識して予防につとめ、リスクのある行動は慎みましょう。例えばデング熱やマラリアなどの蚊媒介感染症は、適切な虫除けや服装をすることにより、旅行者下痢症などの胃腸炎は、生ものを避け不潔な食器を使わないようにすることにより、またHIVなどの性病は、リスクのある行動を慎むことにより避けることが可能となります。またメンタルヘルス疾患に関しても、自分は大丈夫と考えるのではなく、ストレスチェックを実施するなどし、自らセルフケアをするなどを行ってください。

さいごに

 ベトナムは親日家が多く、物価も安く料理も美味しいです。<郷に入れば郷に従え>を実践することで楽しいベトナムライフを満喫する一方、健康面には十分に気をつけましょう。

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